内容説明
介護保険制度の導入はわが国の高齢者福祉の理念とシステムを根本的に変えた。新たな対人サービス民営化の主役として登場した営利事業者。役割を大きく変えた行政、また社会福祉法人や医療法人等既存の非営利組織―新制度下におけるこの三者の活動実態と相互の関係性を、新たな実地調査等を通じ分析・考察するとともに、海外諸国との比較も交え、理論と実際の両面からわが国の現状・問題点・課題を追求・摘出した、時宜にかなった労作。
目次
第1章 はじめに
第2章 行政役割の拡大と非営利サービス供給組織の変容
第3章 民営化された対人サービス領域の分析枠組み:メゾレベルの組織論
第4章 民営化された対人サービスとしての介護保険制度
第5章 対人サービスの民営化をめぐる我が国の課題
補論 介護保険制度の概要
著者等紹介
須田木綿子[スダユウコ]
東洋大学社会学部教授。1960年、東京生まれ。1982年、明治学院大学社会学部卒業(社会学士)。1987年、東京大学医学系研究科保健学博士後期課程2年次修了。同大学にて1993年、保健学博士号取得。研究テーマは高齢者のためのフォーマル・インフォーマルなケアシステム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
28
介護保険導入後、社会福祉に営利企業が参入できるようになりました。それまでは、公的機関か非営利の社会福祉法人だけであり、社会福祉における国家責任がありましたが、介護保険以降は民営化と規制緩和により、国家責任は大きく後退しています。本著では疑似市場を構築するうえで行政の果たす役割が考察され、一概に民営化=規制緩和とはなっていないことが指摘されていました。確かに今日の国家独占資本主義は、営利企業が利益を上げるための市場を国家介入でつくる側面はあります。しかし、規制緩和の影響も正しく見る必要もあると感じました。2018/02/25
kozawa
0
タイトル通りの本で、まぁ悪い本ではないんだけど、論文を改訂して出版、という手のものなので本書が即何かの役にたつという話には多分ならない。結局の所「だから何」感がないではないが、ちゃんと先行文献を調査して語っている部分はあるので読んで後悔はしていない2011/08/13