内容説明
多岐を極める文体と形式、そして膨大な情報の氾濫―一見混沌として読者の理解を阻むかに見えるこの作品の底を、一貫して流れる強烈な意思とは何か。『ユリシーズ』各章の精細な分析を通じて、テクストに書き込まれた「意味の方向性」を丹念にたどり、『ユリシーズ』が目指す地点を読み解く、意欲あふれる労作。
目次
第1部 序論(『ユリシーズ』の詩学)
第2部 文体の詩学(『ユリシーズ』におけるスタイルの変化と歴史的パターン;マッキントッシュの男と謎の詩学;「ロータス・イーターズ」においてヘンリー・フラワーが花開かせるもの;両義的な街)
第3部 カーニヴァルの詩学(『ユリシーズ』におけるカーニヴァル的救済;「ブリーヴン」と「ストゥーム」に向けての物語(一)
―第十一章「セイレーン」の分析から
「ブリーヴン」と「ストゥーム」に向けての物語(二)
カーニヴァル的なるものモリー)
第4部 映画の詩学(『若き日の芸術家の肖像』と映画;『ユリシーズ』と映画;『ユリシーズ』とモンタージュ)
著者等紹介
金井嘉彦[カナイヨシヒコ]
1959年長野県生まれ。東北大学大学院博士課程前期2年の課程修了。1984年東北大学文学部助手、1987年一橋大学法学部講師、1992年同助教授を経て、2000年より一橋大学法学研究科教授。専門は現代イギリス文学、現代アングロ=アイリッシュ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。