内容説明
なぜ魅了されるのか、その圧倒的なパワーはどこから来るのか。『星の王子さま』『蜘蛛の糸』『ナルニア国物語』『風の谷のナウシカ』『銀河鉄道の夜』の面白さの謎を徹底解明。
目次
はじめに バーチャル宗教としてのファンタジー
第1章 癒す―サン=テグジュペリ『星の王子さま』
第2章 救う―芥川龍之介『蜘蛛の糸』
第3章 審く―C.S.ルイス『ナルニア国物語』
第4章 贖う―宮崎駿『風の谷のナウシカ』
第5章 信じる―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
著者等紹介
中村圭志[ナカムラケイシ]
1958年生まれ。北海道大学工学部建築工学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科修了(宗教学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
41
図書館本。数多あるファンタジー作品の中から、宗教の観点からどのような解釈がなりうるかを述べる。なかなかに面白い論述で、1章毎に作品は移り変わっていくものの、確かな繋がりがそれぞれにあり、通読する意味がある。★★★★☆2024/02/12
late
15
宗教色の強い名作群を、宗教学者である著者が独自に分析・解説した本。非常に面白かった。物語、ことファンタジーに関しては自分の中で生まれたワクワクやドキドキが唯一の正解である。ただ、このように作品解説を通じて物語の構造やメタファー、背景、小ネタ等に触れることも一つの楽しみ方ではある。個人的には、昔の作品は宗教的な背景を持つものが非常に多いと感じていたため、ちょうど痒い所に手が届いた感覚。ただし、特定の宗教に肩入れしている方は、この本を読んでも憤慨するだけだと思われるのでやめておいた方が良いかも。2019/02/27
mittsko
6
批評の暴力性とは…?あるいは、この批評は暴力的なのか…? ※ 熱中して読んだ…! 宗教論/学から立てるファンタジー論、想像力論として、世界でもこんなに明確で鋭い本はないでしょう…(*´ω`*) …なんて思って、他の方の感想を読むと、「独断的」「手前勝手」「我流」、あるいは「知識」が邪魔などの言葉が並んでおり、あぁそういうものか… と気づかされた。一定数の作品愛好者にとって暴力的なんだな、こういう批評は、と… そう思って読み直してみた しかし、やっぱりボクには本書の暴力性を見出せなかった2021/04/29
nemunomori
6
星の王子さま、蜘蛛の糸、ナルニア国物語、風の谷のナウシカ、銀河鉄道の夜。宗教的な観点から<深読み>に読み解く作品論です。いろいろと気づかされました。ただファンタジーという繊細な世界では、作者の心に近づくのに、知識の眼鏡が余計な足手まといになることもあると思います。2017/10/08
Takayuki Oohashi
6
この本は原典であるファンタジーのテキストを著者が我流で解釈しているような気がします。特にそれを感じたのは、「星の王子さま」を分析している件です。僕はこの本を読んで、自分のこの作品から受ける印象が、著者の独断的な分析と、大分違うように思いました。この中村さんの斬り刻み方により損なわれる原典の豊かさがいかに多いことか……。宮沢賢治は法華経の影響を受けている……だから何?って感じです。読みやすいのは評価できると思います。2015/02/17