内容説明
本書は視覚と聴覚をめぐる「オデュッセイア」。人間の魂を求める物質存在であり、「陸の男」を水底へと誘う女性存在であり、新しい文学言語を導く言語存在である「水の女」と対峙する。ヨーロッパ文学に頻出するトポスを「長い船路」にて水源から終末まで追う。
目次
序章 船出
第1章 歌声の消失
第2章 歌声の復活
第3章 一八一一年
第4章 妙音の饗宴
第5章 宴の後
終章 「水の女」の黙示録―バッハマン
補遺 人魚の嘆き―近現代日本文学
著者等紹介
小黒康正[オグロヤスマサ]
1964年生まれ。北海道小樽市出身。博士(文学)。ドイツ・ミュンヘン大学日本センター講師。現在、九州大学大学院人文科学研究院教授(ドイツ文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小説大好き
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何気なく手に取りましたが、超大当たりでした。的確で網羅的な作品選定、分かりやすい論旨、豊富かつ軸のある言語表現、そしてバッハマン『ウンディーネ行く』、マン『魔の山』、ブレンターノとゲレス『時計職人ボークス』など取り上げられた作品が悉く魅力的な外装を再獲得していく過程は読んでいて楽しく、私のような馬鹿にも文学研究の醍醐味が感じられました。「聴覚の軽視」「視覚の重視」という流れに対するアンチテーゼに成り得る作品として、ポルノグラフィティ(日本のバンド)「サウダージ」が挙げられるのではないかと提案したいです。2023/12/29
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