出版社内容情報
アルピニスト野口健、初の写真集。ヒマラヤ高山の荘厳な姿、アフリカの躍動する生命、フィリピン・沖縄の遺骨収集、そして東北の被災地まで。世界中を駆け巡る清掃登山家が撮り続けた写真の集大成。
内容説明
「生」の裏側には、必ず「死」が潜んでいる。アルピニストが撮影したヒマラヤ、アフリカ、日本。
目次
ヒマラヤ(僕は「死」を感じにヒマラヤに行く;氷河湖決壊;写真キャプション)
アフリカ(「生きる」ことにギラギラしているところ;アフリカのB面は想像を絶する;写真キャプション)
遺骨収集(なぜ僕は「遺骨収集」を始めたのか;写真キャプション)
東北被災地(ひとつだけ自分にできること;写真キャプション)
著者等紹介
野口健[ノグチケン]
アルピニスト、了徳寺大学客員教授。1973年、アメリカ・ボストン生まれ。亜細亜大学卒。植村直己氏の著書に感銘を受け、登山を始める。16歳にしてモンブランへの登頂を果たす。99年エベレスト(ネパール側)の登頂に成功し、7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。以降、エベレストや富士山に散乱するごみ問題に着目して清掃登山を開始。2007年エベレストをチベット側から登頂に成功。近年は清掃活動に加え、地球温暖化による氷河の融解防止にむけた対策、日本兵の遺骨調査活動などにも力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
182
私たちの価値観で物事を見てしまうと、気づかないことがある。欲しいものをいくら抱え込んでも満たされないもの。生き生きと純粋に喜ぶ笑顔。野口健が見た世界。影と光、死と生が身近に感じてしまうヒマラヤ。最高峰挑戦時の別れを忘れられない。逝く人の覚悟、仲間を残して下山する覚悟。極限地の声なき声を探したい。黒いごみ山に立つ大鳥ハゲコウ、ケニアの現実。人と人が争い放置された遺骨採集。遺留品の時計は7時11分で止まっている。原発被災地。あの日羽田空港の空は異様であった。人が消えた畜舎では生きる術はない。現実を撮り続ける。2023/08/11
くろにゃんこ
42
『神々の山嶺』を読み終えたので、エベレストを写真で見ようとこの一冊。ヒマラヤ、アフリカ、遺骨収集、東北被災地とたくさんの現実です。さまざまな生と死。2015/03/25
mai
42
綺麗なヒマラヤの風景写真だけでなく発展途上国や東北の被災地の写真も載っていて色々と考えさせられました。2014/12/21
けんとまん1007
26
素晴らしいとともに、深みのある一冊。ただし、その深みは、読む人によって、かなりの違いが起きると思う。視点をどこに持つのかで、全く逆にもなりうると思う。生きるとは、幸せとは・・・などを、いやでも考えてしまう。そして、雪崩に巻き込まれたあとの写真も凄い。命を感じる。そして、ここに登場する、特に、子どもたちの眼の透明さには、圧倒されるものを感じてしまう。ということは、それだけ、濁ってしまったというべきか、まだまだ、そう思える感性が残っているというのか。2016/06/22
かいゆう
20
あえて踏み込まなければ見えてこない世界のB面。野口さんが「伝えなければならない」と写真を撮ってくれなければ、ずっと知らずにいたかも。山の厳しさ、スラム街、少年兵の鋭い目、温暖化で流された村…死んでいくこと、生きること、生きていくことを考えさせられました。遺骨収集が今でも続けられていることは知っていました。でも、沖縄の遺骨でさえもまだそのままなのはなぜ?今の自分の暮らしを含めて、とても考えさせられる写真集でした。2013/11/28