内容説明
1972年夏、18歳の「ぼく」は日本を旅し、そこで運命の恋に落ちた。それから35年、ぼくのもとに一通の手紙が届く……。シャネル日本法人社長が、自らの体験をもとに書いた自伝的小説。人生を狂わせた運命の恋の物語。
著者等紹介
コラス,リシャール[コラス,リシャール][Collasse,Richard]
1953年フランス生まれ。1975年、パリ大学東洋語学部卒業。1975年より2年間、在日フランス大使館儀典課に勤務。1981年より4年間ジバンシィ日本法人代表、1985年シャネル株式会社に香水化粧品本部本部長として入社。1995年シャネル日本法人社長に就任。1999年、フランス商工会議所会頭、2002年、欧州ビジネス協会(EBC)会長に就任。1999年、国家功労章シュバリエ章、2006年、レジオン・ドヌール勲章受章
堀内ゆかり[ホリウチユカリ]
1960年生まれ。フランス文学専攻。学習院大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Porco
12
作者はシャネル日本法人の社長を務めるフランス人。そんな人が小説を書いているというだけで驚きです。以前、『紗綾』という、コラス氏が日本語で書いた小説を読んで、これが内容的にも日本語的にもすごくよかったので、本作も読みました。こちらはフランス語で書いたものを日本人が邦訳しています。自伝的な話で(フィクションだと思うけど)、ちょっと感傷的に過ぎるようにも思いましたが、終盤からがよかった。2015/12/08
本の蟲
11
親日家として知られるシャネル日本法人社長の半自伝的小説。仏人青年が日本に来るきっかけから、何十年も日本で暮らしてきた「現在」へ近づく形で交互に語られている。外から見た自国の話は、わりと好き。誇らしかったり恥ずかしかったり、解説したくなったり言い訳したくなったりする。主人公が出会った人間のありえない程の親切さは、やや美化された感はあるが、同時に日本人の不可解な排他性、油断できない部分がラストにも直結していておもしろかった。海外留学中の登場人物による自国評価「日本人は親切なのではなく丁寧なだけ」(続2020/05/11
Melotte 22
2
船に乗るときは、船首にいて目的地を待ちわびるのもいいけれど、船尾にいて航跡を眺めるのも悪くない。思い返すと『青春』とは、青色以外の自分に合う色を探し求める『旅』みたいなものだったと感じる。そこで見つけたものが、白い泡のように、たゆたう航跡のようにやがて消えてしまっても、それはやっぱり自分の中に残っている。その『La Trace』が何色だって構わない。白色でもいいし、赤色でもいい。自分が見つけたその色を、ただ大切にできたらそれでいい。読み終わり本を閉じる。そろそろ目的地が見えるかな。僕は船首へと向かった。2015/08/20
Cake-O
2
著者は元シャネルの社長だったリシャール・コラス。話の舞台は72年と2000年代初期の羽田空港、鎌倉、銀座、京都、瀬戸田(瀬戸内海)、宮島、パリ、そしてモロッコ。今年の私の旅行先とシンクロしてる様に羽田へ向かう飛行機の中で読みながら感じていたが、LAXに戻ってきて読んだ最後の倉敷辺りから、シンクロとはほど遠い、かけ離れた結末だった。携帯もメールもなかった学生の頃、自然消滅していった恋愛をちょっと思い出してしまった。人種とか関係なく日本に長く住むとイジメにあったり、ウツになったりするものなんだろうか。悲惨だな2015/06/27
taskun
2
シャネル日本法人社長による処女作。途中まで実話だと(やや疑ってはいたが)思っていたので、最後の展開はちょっとびっくりした。鎌倉の街の様子がよく描かれている。にしてもフランス人の女性描写力はハンパない。2008/10/31