内容説明
本書は、ニュージーランドの環境問題とその解決の工夫を明らかにするため、環境意識、環境運動、環境行政という柱をたて、とりわけニュージーランドにおける環境問題と行政改革との関連を基本的な視点においた。環境問題について様々なアプローチがなされ、なされるべきであるが、著者は、もっと「環境保護と行政改革」が論じられなければならないと思っている。世界を覆う規制緩和、民営化といった行政・経済改革の波は、古典的な自由経済主義から国家経済主義への20世紀の展開を根本から見直す作業である。社会主義国でも、自由競争化のさざ波はとどまらない。世界中で避けて通れない行政改革の波が、今少しはわれわれが享受している自然や環境にどう影響するのか、地球環境に賢い行政改革とはどうあるべきか、これが本書の課題である。
目次
第1章 ニュージーランドは楽園か(「楽園」は、事実かフィクションか;ニュージーランダーの環境意識)
第2章 環境問題と環境保護運動の展開(環境保護運動のはじまり;ニュージーランド式環境保護運動 ほか)
第3章 環境行政の展開と行政改革(環境行政の曙;ニュージーランド国家の原点と行政改革 ほか)
第4章 ニュージーランド式合意形成とマオリ―二つの環境憲法(1991年資源管理法;合意形成の手続きと特徴 ほか)