出版社内容情報
国内・海外より、計24名の第一線の研究者が一堂に集い、広範・多角的な視点から、民商法の基礎理論や現代的課題を精緻に検討。商取引法、商法総則、有価証券法、会社法などの商法全般から、民法なども含め、私法全般に関して、長く研究・教育活動を続けてきた大塚龍児北海道大学名誉教授の古稀を祝う論文集。計24名の第一線の研究者が一堂に集い、広範・多角的な視点から、民商法の基礎理論や現代的課題を精緻に検討。
『民商法の課題と展望（大塚龍児先生古稀記念）』
大塚龍児先生古稀記念論文集刊行委員会 編
〔執筆者一覧（掲載順）〕
田村善之（たむら・よしゆき） ：北海道大学大学院法学研究科教授
得津 晶（とくつ・あきら） ：東北大学大学院法学研究科准教授
王 万旭（オウ・マンキョク） ：長春理工大学法学院専任講師
伊東尚美（いとう・ますみ） ：北星学園大学経済学部准教授
?橋美加（たかはし・みか） ：立教大学法学部教授
南 健悟（みなみ・けんご） ：日本大学法学部准教授
中元啓司（なかもと・ひろし） ：北海学園大学法学部教授
青竹正一（あおたけ・しょういち）：小樽商科大学名誉教授
田邊宏康（たなべ・ひろやす） ：専修大学法学部教授
淺木愼一（あさぎ・しんいち） ：名城大学法学部教授
新山一範（にいやま・かずのり） ：北海学園大学法学部教授
山下友信（やました・とものぶ） ：同志社大学大学院司法研究科教授
山本哲生（やまもと・てつお） ：北海道大学大学院法学研究科教授
小川浩三（おがわ・こうぞう） ：専修大学法学部教授
遠山純弘（とおやま・じゅんこう）：法政大学大学院法務研究科教授
福田誠治（ふくだ・せいじ） ：駒澤大学法学部教授
千葉恵美子（ちば・えみこ） ：大阪大学大学院高等司法研究科教授
三宅 新（みやけ・はじめ） ：北海道大学大学院法学研究科准教授
永下泰之（ながした・やすゆき） ：東京経済大学現代法学部准教授
藤原正則（ふじわら・まさのり） ：北海道大学大学院法学研究科教授
黄 詩淳（コウ・シジュン） ：国立台湾大学法律学院副教授
松久三四彦（まつひさ・みよひこ）：北海学園大学大学院法務研究科教授，北海道大学名誉教授
林 誠司（はやし・せいじ） ：北海道大学大学院法学研究科教授
新堂明子（しんどう・あきこ） ：法政大学大学院法務研究科教授
【目 次】
はしがき
◆? 商 法◆
1 商号等の不正使用行為に対する規律（商法12条・会社法8条）をめぐる一考察〔田村善之〕
? 序
? 2005年改正の概要
? 保護の対象
? 他の商人・会社であると誤認されるおそれのある名称・商号
? 不正の目的
? 結 語
2 事業譲渡契約論《序説》―典型契約としての事業譲渡契約〔得津 晶〕
? はじめに
? 日本法における契約の個数論と典型契約論
? 事業譲渡の要件論の中にみる「典型契約性」
? 事業譲受人の弁済責任にみる「典型契約性」
? 結 語
3 中国における法人格否認の法理の現在〔王 万旭〕
? はじめに
? 最近5年間の実証研究
? 裁判例の展開―最近5年間の判決を中心に
? 最後に
4 権利行使者の指定・通知を欠く場合の共有株式についての議決権行使〔伊東尚美〕
? はじめに
? 平成17年改正前商法203条2項と会社法106条
? 権利行使者の指定
? 権利行使者の指定・通知を欠く場合の権利行使
? 会社法106条但書の意義
? おわりに
5 退任取締役の競業を巡る紛争と金銭的調整〔?橋美加〕
? はじめに
? 競業あるいはそれに準じる行為の紛争類型
? 独立時の行為に関する事後的な金銭調整
? 終わりに
6 内部統制の欠陥と監査役の職務〔南 健悟〕
? 問題の所在
? 監査役の職務と助言・勧告
? 内部統制の欠陥に対する監査役の助言・勧告
? 結びに代えて
7 法人税法132条に関する最近の判例について〔中元啓司〕
? はじめに
? 平成22年度税制改正前の自己株式取得・譲渡の課税上の取り扱い
? IBM事件の事実の概要と判決
? 法人税法132条について
? おわりに
8 合併対価の不当性と合併の差止め〔青竹正一〕
? はじめに
? 対価の不当性と仮処分
? 株主総会決議取消しの訴えを本案とする差止仮処分
? 会社法831条1項3号と法令違反
? 取締役の善管注意義務・忠実義務違反と法令違反
? 事前の開示と法令違反
? むすび
9 支払決済制度における善意取得の適用範囲―不当利得論と交付合意論を踏まえて〔田邊宏康〕
? はじめに
? 手形の善意取得の適用範囲に関する判例
? 不当利得論からの問題提起と交付合意論
? 不当利得論と交付合意論を踏まえた個別的考察
? 譲渡人が他人になりすました場合について
? むすび
10 改正民法に見る有価証券規定〔淺木愼一〕
? 緒 言
? 証券的債権から有価証券へ
? 有価証券に係る一般規定を民法中に整序した点について
? 有価証券に表章しうる債権
? 有害的記載事項のある手形
? 各 論
11 保険法25条の「てん補損害額」と差額説〔新山一範〕
? はじめに
? 保険法25条の文理からの考察
? 保険契約基準差額説と比例説の代位額の比較
? 片面的強行規定性からの考察
? 保険契約基準損害額が損害賠償基準損害額を上回る場合
? 加害者からの損害賠償が先行する場合
12 人保険契約と重過失による告知義務違反〔山下友信〕
? はじめに
? 重過失の存否に関する平成10年以前の裁判例の概観
? 重過失の成否が問題となる事例類型
? 重過失の成否についての判断基準のあり方
? おわりに
13 傷害保険における因果関係〔山本哲生〕
? はじめに
? 原因の競合の保険契約上の位置づけ
? 疾病免責条項における因果関係
? 原因の競合
? 非担保事由の扱い
◆? 民 法◆
14 いまひとたびのサヴィニー―合意の不存在（dissensus）と錯誤（error）の間〔小川浩三〕
? はじめに
? 錯誤の諸態様と合意の不存在
? ドイツ法の錯誤を理由とする取消
? おわりに
15 民法188条による無過失推定―占有と信頼の保護に関する一考察〔遠山純弘〕
? 問題の所在
? 民法188条による無過失推定
? 起草過程における議論状況
? 民法188条と前主の処分権限に対する信頼
? 民法188条の適用場面
? 今後の検討課題
16 委任等の法理からみた二重支出の不利益割当基準―受託保証人等の求償に関する覚書〔福田誠治〕
? 序
? 委任や事務管理・不当利得の一般法理
? 主債務者と保証人の関係
? 連帯債務と共同保証
? 整理・検討
? 結 語
17 債権譲渡制限特約と民法改正―債権の流動化・担保化はどこまで可能になったのか〔千葉恵美子〕
? 問題の所在
? 債権譲渡制限特約の効力
? 将来債権の譲渡と債権譲渡制限特約
? 結びにかえて
18 民法572条（商法526条3項）の存在意義〔三宅 新〕
? はじめに
? 現行民法下において民法572条の法律解釈が争われ得る例
? 不法行為責任と債務不履行責任で必要十分であること
? 考えられ得る民法572条の積極的意義
? 現行民法572条の存在意義に関する結論
? 商法526条3項に関する考察
? 改正民法で存在意義が付与される可能性（結びに代えて）
19 労働者のメンタルヘルスに対する安全配慮義務―「期待される」労働者とはいかなる者か？〔永下泰之〕
? 問題の所在
? 安全配慮義務の労働者のメンタルヘルスへの拡張
? 「期待される」労働者像
? 安全配慮義務と過失相殺の可否
? 結びにかえて
20 誤振込による預金債権と被仕向銀行の受取人に対する貸金債権による相殺―特に，ドイツのネット契約論との関係で〔藤原正則〕
? はじめに
? わが国の判例・学説
? ドイツ法との対比
? おわりに
21 台湾における死因贈与の実態および類型化の試み〔黄 詩淳〕
? はじめに
? 学説の整理と問題提起
? 判例の考察
? むすびに代えて―解釈論の方向
22 公的緊急救助行為と緊急事務管理規定（軽過失免責）類推適用の可否―積丹岳遭難救助訴訟を手がかりとして〔松久三四彦〕
? はじめに
? 積丹岳遭難救助訴訟（本件訴訟）
? 公的緊急救助行為における軽過失免責の視点
? 緊急事務管理規定（軽過失免責）類推適用の可否
? むすび
23 成人の責任無能力者に関する監督者責任の研究序説―近親者・個人後見人に関する日独裁判例比較を中心に〔林 誠司〕
? 序
? 日本法
? ドイツ法
? 検 討
? 結 語
24 社会保険給付と損害賠償との間の損益相殺的な調整―最高裁大法廷の到達点・前編〔新堂明子〕
? はじめに
? 社会保険給付の目的および種類，事案類型の定義
? 最大判平5・3・24以前の法状況
? 最大判平5・3・24
? おわりに
大塚龍児先生古稀記念論文集刊行委員会［オオツカリュウジセンセイコキキネンロンブンシュウカンコウイインカイ］
編集
内容説明
基礎理論から最新動向まで、広く深い理解のために。信頼の執筆者が集い、幅広いテーマから精緻に検討。
目次
１ 商法（商号等の不全使用行為に対する規律（商法１２条・会社法８条）をめぐる一考察
事業譲渡契約論“序説”―典型契約としての事業譲渡契約
中国における法人格否認の法理の現在
権利行使者の指定・通知を欠く場合の共有株式についての議決権行使
退任取締役の競業を巡る紛争と金銭的調整 ほか）
２ 民法（いまひとたびのサヴィニー―合意の不存在（ｄｉｓｓｅｎｓｕｓ）と錯誤（ｅｒｒｏｒ）の間
民法１８８条による無過失推定―占有と信頼の保護に関する一考察
委任等の法理からみた二重支出の不利益割当基準―受託保証人等の求償に関する覚書
債権譲渡制限特約と民法改正―債権の流動化・担保化はどこまで可能になったのか
民法５７２条（商法５２６条３項）の存在意義 ほか）
