内容説明
路上のパフォーマーたちは、単に都市空間の日々の変化と交渉しながら活動するばらばらな存在ではない。彼らの活動を、都市とメディアの交わる場所として、そこから生まれる多面的で重層的な営みとして理解することで、新たなパフォーマー研究の可能性を探る。
目次
序章 メディアと都市の交わるところ
1 ストリート・アーティスト(都市、意識、身体―路上表現の文化政治;ストリートとメディアの文化経済学)
2 ちんどん屋(ちんどん屋の実践とその可能性―見ること、歩くこと、変えること;ちんどん屋のライフヒストリー)
3 サウンド・デモ(サウンドの媒介力と都市)
4 グラフィティ・ライター(マスターピース―落書き/グラフィティの境界をめぐって;タグ―都市下位文化における匿名性)
著者等紹介
吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。専攻は社会学、文化研究
北田暁大[キタダアキヒロ]
1971年生まれ。東京大学大学院情報学環助教授。専攻は理論社会学、メディア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れどれ
2
論考としてはスカスカな気がするけれど、どの話においても行為実践者からのインタビューを抜粋した箇所は面白い。とくにチンドン屋については、これまで知らなかった分野なだけに強い感動があった。声を上げた。虚業とはかけ離れた広告宣伝業。街との一体化。商いにおける陶酔の実現。これだよこれ、と、甲高い声を上げた。2022/01/25
Hiromu Yamazaki
2
都市権力との関係性を念頭に主体のアイデンティティ形成や主体間の関係性を世相と絡めながら論じている。吉見・北田編と記載されているものの中身の大半は当時修士課程の学生によるリサーチだそうだが非常に質が高いと感じた。またこのようなリサーチを行う授業がありさらにはそのアウトプットを書籍に刊行する、という環境があったことが非常に羨ましい。2014/02/22
shin
1
課題本でもあるので一読。ちんどん屋、大道芸人…都市路上のさまざまな営みを社会学的に分析する試み。路上を活動とする主体と深く関わるものに行政があるが、行政の管理権力とどのように付き合っていくのか、それぞれのスタンスが垣間見えた。2013/04/29
tomad
1
ちんどん屋に感動2009/05/08
KakeruA
0
南後さんのグラフィティリサーチに惹かれて購入したが、ストリートパフォマーに対するエスノグラフィカルなリサーチを通じて描かれる"都市性"も興味深い。修士課程学生のリサーチが本文のほとんどを成していることにも驚いた。2012/12/26
-
- 和書
- 耳を傾ける技術