内容説明
身体芸術からオリンピックまで、あらゆるパフォーマンスを対象に、社会との対話、支配文化への介入を企てる実践的な知。
目次
はじめに―パフォーマンスとアイデンティティ
第1章 パフォーマンス研究
第2章 争われる戦争の記憶―「エノラ・ゲイ」、「昭和館」と嶋田美子
第3章 アメリカ「発見」の逆民族誌的パフォーマンス
第4章 長野オリンピック開会式と国民国家
第5章 東京の『ミス・サイゴン』―観客の作り方と作られ方
おわりに―介入への実践をめざして
著者等紹介
高橋雄一郎[タカハシユウイチロウ]
1957年生まれ。独協大学外国語学部英語学科教授
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感想・レビュー
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ルンブマ
4
パフォーマンス研究を概観するのに最適。著者の高橋によれば、パフォーマンス研究は「規範の維持と転覆」という、双方向の働き=両義性を問題化してきたという。この両義性の研究の中で、特に鍵となってきたのは、ヴィクター・ターナーの「過渡性」、リチャード・シェクナーの「行動の再現」という二つの概念である。ターナーの「過渡性」とは、パフォーマンスが孕む特権的秩序の逆転作用が、秩序の回復と分裂という双方向へ向かわせるという両義性を備えていることを指す。2021/03/25
阿部
0
演劇やダンスといった社会的に認識されているものにとどまらず、日常的なふるまいや文化的行為など、広く人間の社会活動を成立させている行為をパフォーマンスと捉えるパフォーマンス研究について述べた本。 特にパフォーマンス研究について概観できる第1章は基礎として役に立つ。 ドミナントからオルタナティブへ、超越的視点から現場へというパラダイムシフトは、ナラティブアプローチにもアクションリサーチにも共通する。2018/05/23