内容説明
本書で展開されるのは、「性」に仮託した独特の文明論である。細胞と細胞を結びつける現象として始まった性は、やがて個体と個体を結びつけるものとなり、その結果として、来るべき人間の社会は、コンピュータ・ネットワークで緊密に一つに結び合わされた超生物(スーパーオーガニスム)となる。動物たちの示すさまざまな行動や現象を紹介し、その起源をたどりながら、人類も動物界の一員として、逃れがたくその枠組みの中にあることを述べ、その枠組みの中で、人類の今後の運命までも予言している。
目次
1 熱気に包まれた宇宙―性のエネルギー
2 熱く、そして呪われて―性の始まり
3 共食いするもの、しないもの―融合という性
4 死の接吻―性と死
5 不思議な魅力―性と知覚
6 一緒になろう―未来の性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Uzundk
1
私達の遠い祖先である細胞まで遡り、性の役割について考察する。性の多様性については他の本に譲る。生殖とは私達が生き返るために減数分裂という遠い祖先が通った道を通りなおすというである。私達は生まれた瞬間から入れ物としての役割しか持たないのだというのが前半。後半では生殖のための誘引として発達した性が個体ではなく種の反映のための機能になりつつあり、実際そうなっている例を示す。たとえば生殖だけを行うメンバーとそれ以外のように。私達の社会に組み込まれた性の役割は近いうちに全く異なるものになるかもしれない。2017/05/05
原玉幸子
0
飽く迄も原書が『What is Sex ?』なだけで、性と生殖の同一化は生物学的には最近であることや、熱力学第二法則に準えた生物界の解説は、進化生物学の科学的知識が少しでも無いと楽しく読めないと思います(流石立花隆師匠推薦)。1997年出版の本書は「人工生殖や避妊等、性行為と生殖が乖離していく」と、20年近く経ての現在の世の中を言い当てていましたが、逆に、進化生物学は本書の情報が古く、最近の本の方がいい気がします。(一寸気障に『アポトーシス』を哲学的な言い回しに使うのは如何。)(◎2017年・春)2020/02/07
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