内容説明
ホルバイン、ネルヴァル、ドストエフスキー、デュラスの作品や臨床例のなかに〈抑鬱とメランコリー〉の様相をさぐり、その苦悩の転化を経て生まれる豊かな想像的宇宙を独自の精神分析理論によって鋭く洞察し、この陰鬱な世紀の病いに新しい創造の光を投げかける。
目次
1 美―抑鬱を病む者の別世界
2 ホルバインの『死せるキリスト』
3 ネルヴァル、「廃嫡者」
4 ドストエフスキー、苦悩のエクリチュール、赦し
5 苦悩の病い―デュラス
6 対鬱剤としての精神分析
7 パロールの生と死
8 女性の抑鬱のさまざまな形(食人的な孤独;殺すか自殺するか―犯された過ち;処女なる母)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
T. Tokunaga
3
ホルバインという中世的な美術学芸の渡世人、ネルヴァルという啓蒙や市民社会から縁を切ったように見える人物、正教的神秘主義者のドストエフスキー、そして広島以降の苦悩、または悲哀と、その現実的な対象の否認をカタルシスなく描くマルグリット・デュラス、いずれも中世的な人物である(または、エウリピデス / ミルトン / ボーマルシェ的な過渡期の人物)。そのような過渡期はたしかに精神分析に適しているが、1980年代はそこまでの過渡期ではなかったらしく、パロールやシンボルを失う症例には、それほど切迫したものがなかった。2025/05/29
宵子
2
ブルガリア出身のフランスの精神分析医クリステヴァの著作。ホルバインの「死せるキリスト」やドストエフスキーの作品などの分析と、抑鬱について分析したもの。そのため、読んでいて滅入ってくる。一見、ヤンデレホイホイだし。一番印象的だったのは「抑鬱はナルシスの隠された顔」であり、自己愛的抑鬱症患者にとっては、自殺は悲哀との結合であり、不可能な愛との結合らしい。しかも、他者やものを貪ろうとすることでしか、生き延びることができないと思い込んでいる、とのことだ。だから、時折他者に対して凶暴化する場合があるのね。2012/08/09
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