内容説明
奈良時代から鎌倉時代まで、およそ600年に生まれ死んだ100人の歌人たち。彼らが遺した歌には、きらびやかな平安貴族文化の裏のどす黒い情念がひそんでいた。「鬼と化した仲麻呂」「陽成天皇のご乱行」「慈円の祟り」「儀同三司母・かつての恋人への神罰を願った歌」「右近・幸せの絶頂に暗い未来を予言した歌」「密かに思い合っていた恋人への鎮魂」など、百人一首の負の側面に迫る。
目次
第1章 本当は怖い百人一首の歌人たち(恩人の無念を鎮めるために…―百人一首にひそむ後鳥羽上皇に向けたメッセージ;愛する人の鎮魂のために…―式子内親王に手向けたもうひとつのメッセージ ほか)
第2章 本当は怖い「宮廷生活」(愛憎うずまく伏魔殿・後宮―百人一首の歌人たちが恋をし、歌を詠んだ世界;血を忌み嫌う宮廷―中宮といえど宮中にいられるのは妊娠3カ月まで ほか)
第3章 本当は怖い「宮廷恋愛事情」(天智天皇―古代の英傑天皇が弟の妻を略奪!;元良親王―第一親王なのに即位できない怒りで女狂いに ほか)
第4章 本当は怖い「恋の歌」(第三番柿本人麻呂―手の届かぬ権力者を想った歌;第九番小野小町―老いの残酷さを儚んだ歌 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
22
題名と一致はしていませんが作者たちの簡単なエピソードが記されています。どの歌を歌った人かわからないところもありました。雑学として良かったです。2022/01/01
メタボン
21
☆☆☆ 百人一首の時代背景について雑学として興味を持って本書にたどり着く。歌と言えば綺麗だが、実らない恋や出世欲など、託す心はなかなかに熱く深いものであり、平安貴族の生きざまに思いを馳せる読書となった。織田正吉の「絢爛たる暗号」はなかなか古書店になく、アマゾンでも結構な金額がついている。手放してしまったのが惜しまれる。2018/01/14
風竜胆
7
百人一首といえば、高校時代に、古文の一環として暗記させられた。その時は、まさかこれらの歌の中に、こんなどろどろとしたものが渦巻いているとは思わなかった。本書は、意外な百人一首の姿を示してくれて、極めて興味深い。 2013/03/12
chatnoir
6
取り上げているのは一部の作者と歌だし、何番の歌って書いているだけで歌の記載がないのが多いので、他の百人一首の本を用意して読まないといけないのが、煩わしかった。番号だけで、あの歌ね、ってわかる人向けなのかな(笑)百首をある法則にのっとって並べると、縦横斜め、合計数が同じになるってところが、面白かった。確かに、同じ言葉の入った歌、あるよね。でも、他人の考えをかいつまんだだけだから、この作者が面白いわけではないなぁ。2015/02/10
MIEKKO
2
まとまりと章立てが分かりにくかったし、下世話(笑)ただ「平安時代の人たちって歌謳ってる以外ではなにしていたんだろうなー。」という疑問を少し解決してくれたかも。おおらかで分かりやすい万葉集のほうが好きだったけれど、この時代も雅なだけじゃない感情を底に沈めた歌が多かったんだな、と思った。2012/07/09