出版社内容情報
第7回『このミス』大賞優秀賞受賞後第一作は、奄美群島を舞台にした伝奇ホラーです。デビュー時絶賛された衝撃的な描写力はそのままに、島の偉大な民間霊媒師“ノロ”一族の秘密を暴いていきます。主人公が発見したのは、脳がくりぬかれた、カリスマ占術師の死体。彼は犯人を探りはじめるが、周囲で次々と事故死が起こり、彼自身にも危険が迫る――。ノロの儀式や風習をはじめ、奄美群島の歴史や風土、風俗を網羅した美しい描写も必読。
内容説明
奄美大島で主人公が発見したのは、脳をくり抜かれたカリスマ占術師の死体だった。彼は死ぬ直前に実家・喜多住島に伝わる“鬼の呪い”に怯え、島の偉大なノロのもとを訪れていた。これを知った主人公は、事件との関連性を感じて喜多住島へ向かう。しかし周囲で次々と事故死が起こり、犯人の目星をつけるも決定的な証拠が挙がらず、やがて主人公にも危険が迫る…。
著者等紹介
中村啓[ナカムラヒラク]
1973年、東京都生まれ。フリーライター。漫画家を志し、「週刊ヤングジャンプ」他で奨励賞など7回の受賞歴あり。第7回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞受賞、『霊眼』にて2009年3月デビュー。埼玉県在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyanco
27
序盤に残虐なシーン。このツカミ、前作と同じく良いのですが残念なことに今回もここがピークでその後、それを超えられない。読者を一気に掴む手法はお見事なのですが、その後もハラハラドキドキとさせて欲しい。良くなったのは隠された謎の部分の作り込みがしっかりしていたこと。貴木家の者が大柄であった理由、そして早死にする原因…これはとても面白かった。中盤、喜界島観光客招致用ガイドブック化していた部分が多くこれも気になりました。(取材のお礼は解るのですが…)前作に比べ読みやすく構成も良くなっていたので更なる成長を!2010/07/14
くみこ
22
面白くなりそうだったのになぁ。殺害されたカリスマ占い師の出身地は南の島で、島には、琉球王国時代から続く偉大なノロや、様々な土着信仰が存在し、現在は不正な公共事業問題もちらつきます。フリーライターが殺人事件と島の謎を追うのですが、しゃりっしゃりっ…しゃりっしゃりって!。ここまでおどろおどろしい展開になるとは。予備知識なしで読んだのが悪いんだけど。主人公のキャラクターも、神秘的な島に纏わるミステリーなのか、ホラー小説なのか、なんとなくぼやけた印象です。魅力的な素材には溢れていました。2021/06/11
くまちゃん
17
島で起こるカニバリズム、鬼伝説、猟奇殺人などのキーワードで楽しめそうだったのですが、あまり入り込めなかった。目新しい感じがなかったのかな?2018/01/05
みんと
16
貴来家にまつわる血みどろで怖ろしい因縁。 凄惨な殺人が行われているのになぜか恐怖心をあまり感じさせないバタバタ感がある。 せっかく南の島での設定も旅情感があまり無く、どうせなら島全体、住民全てから悲壮感を漂わせたほうがミステリー色が強くて良かったと思う。2015/06/20
たこやき
13
相変わらず、冒頭でのつかみは抜群。ところが、その後は、取材と言う名の観光したりで何か微妙な感じ。伏線だとかの回収は良いものの、実行犯については色々と設定に無理を感じるし、また、黒幕が動くことで却って周囲に「自分は怪しい者です」と喧伝しているだけのような……。前作と比べ、主人公の行動原理とかは理解出来るし、完成度も高くなっていると感じるだけに、あと一歩、というのを思う。2010/08/07