宝島sugoi文庫
戦後死刑囚列伝 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784796672900
  • NDC分類 326.52
  • Cコード C0136

内容説明

先般「裁判員制度」が開始された。国民が人を裁き、有罪か無罪かだけではなく、死刑を含む量刑を判断せねばならない。以前から死刑は是か?非か?といった議論が為されているが、死刑そのものについて、私たちはどの程度知っているのか?―断片的であったり、偏った知識であったりというのが現状ではなかろうか。みずからはもはや語るべき術をもたない死刑囚自身に、筆者の筆をとおして、いまあらためて死刑とその制度を問うた。

目次

戦争―兵役で知った性への異常心理・小平義雄
恩赦―戦争の混乱で消えた公判記録・佐々木喬司
少年―「死」を恐れないたった十数年の人生・伊藤幸治
逆転死刑―“愛人”に裏切られた宿怨殺人の顛末・古屋栄雄
弁護放棄―被告に“死刑判決”を下した弁護人・三枝賢・大西克己
一票の差―生死をわけた最高裁長官の“死刑支持”・竹内景助
境界線―類似犯罪の判決は片や死刑、片や無期・津田暎
自白―最高検察庁を動揺させた“秘密通信”・羽賀竹男
誤殺―兄の身がわりに処刑台に立った弟・古川高志
差別―ハンセン病患者への偏見が事件の出発点・藤本松夫
獄中訴訟―処刑場をみずから現場検証した訴訟魔・孫斗八
生贄―「世論」も支持する“極悪非道人”の処刑・栗田源蔵
死刑志願―騒音問題が引き金となった自殺目的の殺人・大浜松三
模範囚―死刑執行の現場を記録した録音テープ・大谷高男
脱獄―逃走十一日におよぶ戦後最大の脱獄劇・菊地正
自殺―国家の手になる「死」を拒否した誘拐殺人犯・山川真也
発狂―残してきた子を思う精神的葛藤の結末・山本宏子
獄中歌人―処刑前夜、安らかに最後の投稿歌・千葉覚
獄中結婚―信仰により出会った“金網越し”の愛・山口清人
一度に二十三人の刑執行にサインした法相・奥野清・岩崎治一郎
時効―戦後日本の死刑制度を象徴した男の死・平沢貞通

著者等紹介

村野薫[ムラノカオル]
出版社勤務を経て、現在フリーランス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GELC

7
全体的に死刑廃止論調だが、同種の大塚公子氏の著作よりはバイアスが小さくて、事例も多いので、参考として読みやすい。社会全体の風潮に影響されるのはまだしも、検察や行政の都合で量刑や執行順が変わったりするのはどうかと思う。また、調過程や拘禁症状についても取り上げられている事例があり、問題意識を掻き立てられる。2023/06/25

Ayumi Katayama

2
戦後の死刑囚達を総括した一冊。必ずしも有名事件ばかりではないが、都度考えさせられる。エピローグの言葉が全てを物語っているのかもしれない。『「遺族は犯人が苦しみ、死ぬことを望んでいるでしょうし、犯人が死刑になれば安心もすることでしょう。しかし……」〈中略〉しかしわたしは、これ以上ふれない。これに続けるべきことばは、むしろ彼ではなく、彼らたちを「殺せ」「死んでも止むを得ない」と断じつづけてきたわたしたちが、今度は死刑囚たちに代わって答えるべきこたばだと思うからである。』2016/07/19

コリエル

2
タイトル通り、戦後に何らかの罪を犯し、死刑が確定した囚人たちのその生き様と彼らにまつわる様々な周辺事情が語られる。著者は死刑制度反対派であるので語り口にある程度のバイアスはかかっているが、それでも短い頁で淡々と語られていく死刑囚たちの人生を興味深く俯瞰できる一冊だった。人間のやる事なので誤認捜査や不当な判決、冤罪は確実にある。でも、それでも人生の機会を不当に奪われた人への贖罪として、同じ様に人生の機会を奪い去る以上に妥当な刑罰は無いのではないかと思う。2016/01/08

千木良

2
みずからはもはや語るべき術をもたない死刑囚自身に、筆者の筆をとおして、いまあらためて死刑とその制度を語らせてみようと思う。 ―― 宝島社文庫版を既読のため再読。21項目23人の戦後死刑囚を中心に121人の死刑囚を掲載。全体的に死刑廃止論側に重点を置く記述となっています。2015/10/17

mamib

1
恐怖度★★★★★ 時代度★★★ 自分からは絶対に読めない種類の本なので、今回読む機会を与えられてよかった。読み終えて、なんとも言えない複雑な感情がこみ上げてくる。戦後からの死刑囚(冤罪を含め)の生の記録。どのような犯罪を犯し、獄中でどのように生活を送っていたかという内容が、あまりにも生々しく書かれ、それは恐怖であると同時に悲しくもあった。戦後から状況は変わっただろうか。紹介されている死刑囚の話からこういった死刑に匹敵する犯罪(「死刑判決」も含め)「社会の時代背景」が大きく影響してくるんだと考えさせられた。2012/01/13

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