内容説明
先般「裁判員制度」が開始された。国民が人を裁き、有罪か無罪かだけではなく、死刑を含む量刑を判断せねばならない。以前から死刑は是か?非か?といった議論が為されているが、死刑そのものについて、私たちはどの程度知っているのか?―断片的であったり、偏った知識であったりというのが現状ではなかろうか。みずからはもはや語るべき術をもたない死刑囚自身に、筆者の筆をとおして、いまあらためて死刑とその制度を問うた。
目次
戦争―兵役で知った性への異常心理・小平義雄
恩赦―戦争の混乱で消えた公判記録・佐々木喬司
少年―「死」を恐れないたった十数年の人生・伊藤幸治
逆転死刑―“愛人”に裏切られた宿怨殺人の顛末・古屋栄雄
弁護放棄―被告に“死刑判決”を下した弁護人・三枝賢・大西克己
一票の差―生死をわけた最高裁長官の“死刑支持”・竹内景助
境界線―類似犯罪の判決は片や死刑、片や無期・津田暎
自白―最高検察庁を動揺させた“秘密通信”・羽賀竹男
誤殺―兄の身がわりに処刑台に立った弟・古川高志
差別―ハンセン病患者への偏見が事件の出発点・藤本松夫
獄中訴訟―処刑場をみずから現場検証した訴訟魔・孫斗八
生贄―「世論」も支持する“極悪非道人”の処刑・栗田源蔵
死刑志願―騒音問題が引き金となった自殺目的の殺人・大浜松三
模範囚―死刑執行の現場を記録した録音テープ・大谷高男
脱獄―逃走十一日におよぶ戦後最大の脱獄劇・菊地正
自殺―国家の手になる「死」を拒否した誘拐殺人犯・山川真也
発狂―残してきた子を思う精神的葛藤の結末・山本宏子
獄中歌人―処刑前夜、安らかに最後の投稿歌・千葉覚
獄中結婚―信仰により出会った“金網越し”の愛・山口清人
一度に二十三人の刑執行にサインした法相・奥野清・岩崎治一郎
時効―戦後日本の死刑制度を象徴した男の死・平沢貞通
著者等紹介
村野薫[ムラノカオル]
出版社勤務を経て、現在フリーランス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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