内容説明
ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。恋人の浩介と一緒に育て始めたものの、仕事が生きがいの藍はは、日々の忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛されているかを見失っていく…。浩介が去り、残されたリラとの生活に苦痛を感じ始めた頃、リラが癌に侵されてしまう。愛犬との闘病生活のなかで、藍は「本当に大切なもの」に気づきはじめる。“働く女性”と“愛犬”のリアル・ラブストーリー。
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年にフリーのキュレーターとして独立。2003年にカルチャーライターとして執筆活動を開始。2005年に第1回日本ラブストーリー大賞を受賞した小説『カフーを待ちわびて』は、2009年2月に映画化され、話題となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
471
あああああああ、これはね、犬好きのあなたは「絶対に」読んじゃダメです!2017/03/13
yoshida
362
愛犬や愛猫との生活経験がある方。特に愛犬や愛猫に救われた経験がある方には、特に胸に迫るものがあるはず。愛犬リラと東京郊外に暮らす藍と浩介。藍は敏腕の編集者であり多忙。浩介は在宅のコピーライターであり、リラの面倒は浩介が見ていた。浩介と別れ藍はリラの面倒を見るが、激務もあり疎ましく思ってしまう。そんな中、リラの体調に変化が表れる。命には限りがあり、どんなに大切な存在でもいつかは別れなければならない。だが、懸命に一緒に生きた想い出は、残された人々を支えていく。命の尊さ、平凡な日常の有り難さを教えてくれる良作。2018/10/20
ろくせい@やまもとかねよし
315
原田さんにやられた。止まらない感涙である。飼い犬と離婚した夫婦をめぐる物語。物語の構成か、表現する文章か、原田さんがつむぐ文字を読むと、自覚していない利他的おもやりへの感動を呼び起こす感覚である。原田さんはすごい力をもつと率直に尊敬。人間であることをよかった感じれる作品だと思う。2016/03/08
ちょこまーぶる
308
良い意味で辛い一冊でした。自分自身も今まで犬と猫と暮らした経験があるが、主人公のキャリアウーマンである藍さんのようにペットと暮らす生活の温かさや命の尊さなどに対して、正面から向き合っただろうか?と自問自答しながら読み進めました。そして、自分は中途半端だったなぁ~と自戒してしまいました。でも、この本を読んでいる間は常に自分と暮らした彼らを思い出しながら読めたことには、この本に出合って良かったなぁという思いで一杯です。動物とともに暮らすということへの責任の重さを感じさせてくれた良本だと思います。2018/01/18
kanegon69@凍結中
276
分かってたんです。いやぁ、最初から分かってたんです。 でもしっかり泣いちゃいました。ハイ。もう年甲斐もなくポロポロ。中盤までは飼い主としての葛藤・仕事とのバランスの難しさ・夫婦の問題など、心の中の繊細な部分、そんなこと思っちゃいけないけど思ってしまう、そんなストーリー展開でした。いろいろ難しいよなぁ、なんて思いながら、、中盤からエンディングまでの展開は本当に涙なくしては読めません。でも悲しいだけではなく温かいものもいくつも感じることができました。いまは喪失感の中、夜明けは本当に来るのかなぁなんてぼんやり、2019/07/14