内容説明
東京銀座7丁目の「ライオンビヤホール」は建設以来60年を経て、いまなおインテリアは当時と変わらぬ雰囲気を残し、人々に親しまれている名物ビヤホールである。この建物の設計者・菅原栄蔵は、旧新橋演舞場、駒沢大学図書館など、その異彩を放つ作品で、世を風靡した建築家である。子どものころから画才に恵まれ、仙台から上京後は現場見習いから修業を積み重ね、やがて大舞台に抜摺されて才能を開花させた。栄蔵のめざした「独自の様式」はその後の建築界で正当に継承されることはなかったが、ひとつの時代の反映でもあった。歴史を学んだ著者が父・菅原栄蔵の時代を綴る。
目次
1 「美術建築師」
2 建築への道
3 3人の師
4 新橋演舞場と「ライト式」
5 自分独特の様式をめざして
6 戦中・戦後
7 栄蔵余話