内容説明
フシギとわかる神経科学の最前線。脳や脊髄など神経の成り立ちと記憶のしくみ徹底解説。
目次
第1章 神経系とは何か(神経系のなりたち;神経の興奮;神経の伝達;神経回路;神経系のクセ)
第2章 記憶のしくみ(記憶の貯蔵;神経伝達の可塑性;神経回路の可塑性;記憶を操作する)
第3章 記憶の異常(認知症;ストレスと記憶障害;スーパー記憶;細胞移植は記憶障害の解決策になるか)
著者等紹介
小倉明彦[オグラアキヒコ]
大阪大学大学院生命機能研究科脳神経工学講座教授(現在名誉教授)。理学博士。専門は神経生物学(記憶の成立機構についての細胞レベルの解析)。1951年、東京都生まれ。1975年、東京大学理学部生物学科卒業。1977年、同大学院修士課程動物学専攻修了。1977~1979年、西独(当時)ルール大学生物学部研究員。1980年、三菱化成生命科学研究所研究員。1993年、大阪大学理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
62
この分野に関して、私は全くの無知。だから「神経系とは何か」から説明してくれるのは有難い。ニューロンの構造、脳や末梢神経のでき方、シナプス伝達など、イラストも分かりやすくて快調。ただ「記憶のしくみ」の著者の主張の部分になると、果して本当の意味で理解できたかと言われれば、相当心許ない。でも、「科学をエンタにする」という著者の思いは存分に伝わっている。同僚の仲野徹先生や近藤滋先生に肖りたいとあるが、文章に溢れるユーモアや各章コラムのウィットのセンスもよく、十分「阪大・科学エンタ三兄弟」の仲間入りができると思う。2020/07/26
hatman
9
あまり引き込まれなかった。以前に読んだ「記憶力を強くする」と内容がほぼ被っているのと、本著の行き先がつむじまがりで私には馴染めなかったからかもしれない。2021/06/29
マイアミ
6
★★★★ Naはナトリウム、Caカルシウム、ではClは塩素。なぜ塩素だけ日本語なのだと思って調べるとClはchlorine(クローライン)だった。元素記号を再び調べたのはイオンチャンネルの記述が出てきたから。神経学なので他にもグリアやシナプス、神経伝達物質のグルタミン酸やGABAなどの用語が盛り沢山。グリアの種類の多様さと軸索へ両手を伸ばしたような接続型の仕方、シナプスの調節性伝達にちょっと感動し、記憶関する部分はちょっとした興奮を覚えた。少し専門的だったが、ヒトの認知機能に対して理解が深まったと感じた。2021/03/07
ganesha
6
阪大名誉教授による神経科学のエンタメ本。神経系や記憶のしくみ、認知症やPTSDなどについて、専門外のひとにもわかりやすく書かれている。海馬とサヴァン症候群に関してが興味深かった。2020/08/23
はぶちえ
5
神経科学のおさらいに。 大学の人気講座を聞いているようなライトな気持ちで神経科学の基礎を復習できた。比喩がうまく、イオンチャネルや電位の説明は現役時代に聞きたかったほど。 メインの記憶パートは自説になるからか比較的マイルドだったが、対象が1対1ではなくネットワークとなるとすべてを生理学的に説明するのは骨が折れると感じた。 1点、図説とキャプションと本文での扱いが一致しなかったり補足がなかったりするので、その点は注意が必要。2021/01/05