出版社内容情報
政治の混迷の季節に、虚飾にまみれたマルクスを救出するという緊張のもと書かれた『カール・マルクス』と、「自立」を基礎づける諸論考を収録する[単行本未収録2篇]。月報は鹿島茂氏とハルノ宵子氏が執筆。
【著者紹介】
1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。
内容説明
政治的混迷の季節にマルクスを救出するという緊張のもと書かれた『カール・マルクス』と、「自立」を基礎づける諸論考を収録。
目次
1(この執着はなぜ;告知する歌)
2 カール・マルクス(二十一世紀のマルクス―文庫版のための序文;マルクス紀行 ほか)
3(自立の思想的拠点;頽廃の名簿 ほか)
4(鮎川信夫論―交渉史について;高村光太郎私誌 ほか)
5(30人への3つの質問;再刊・複刻を望む本 ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
3
「カール•マルクス」「自立の思想的拠点」を収録。1964〜65年頃の論考。吉本思想の中心命題「思索する者は大衆の原像を常に自らに繰り込まねばならない」が現れる。チャチな党派性による政治は思想家の死を意味する。当時は革新派が中ソを拠り所にできた時代であり、低級な思想であっても衆を恃むことで大きな顔ができた。彼らはその後揃って消えていく。吉本は独歩し、迂遠に見える仕事を継続する。現代の僕らのたたかいにおいても、安易なスローガンに依拠したり、内輪構造に取り込まれる危険に意識的でありたい。2018/07/28
毒モナカジャンボ
1
反戦後民主主義者、反スターリニストとしてマルクスの思考を徹底的に救い上げようとした吉本、罵倒までもがマルクスの辛辣な口調に重なってくるので面白い。対幻想(家族)をいくら集めても共同幻想(国家)は作れずそこには飛躍があるというのはそう。社会的国家と政治国家の違いを分けないために俗流マルクス主義はダメだという。心身の捉え方が本当にわからない。自己が現にあることの認識が時間的な了解性、ここにあることが空間的な関係性であることはわかるがその噛み合わせのねじれがなぜある種の精神病理に結びつくのか。心的現象論読むか。2020/06/10
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