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韓国文学のオクリモノ
誰でもない

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784794969873
  • NDC分類 929.13
  • Cコード C0097

内容説明

それが必要だった。すべてのものが消えてゆくこのときに。暗闇を水平線で分ける明かりのようなものが―喪失、暴力、孤独、格差、貧困…“今”をかろうじて生きる人々の切なく、まがまがしいまでの日常を、圧倒的な筆致で描いた8つの物語。いま最も期待される韓国文学の“新しい顔”ファン・ジョンウン、待望の初邦訳。

著者等紹介

ファンジョンウン[ファンジョンウン]
黄貞殷。1976年、ソウル生まれ。2005年、短編「マザー」でデビュー。08年、最初の短編集『七時三十二分 象列車』を発表すると、現実と幻想をつなぐ個性的な表現方法が多くの人の心を捉え、一世を風靡する。10年、最初の長編小説『百の影』で韓国日報文学賞、12年、『パ氏の入門』で申東曄文学賞、14年、短編「誰が」で李孝石文学賞、15年、『続けてみます』で大山文学賞、17年、中編「笑う男」で金裕貞文学賞など、数々の文学賞を受賞

斎藤真理子[サイトウマリコ]
翻訳家。『カステラ』で第一回日本翻訳大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

89
ページを開くと飛び込んでくる序文にドキリとした。そして読んで真っ先に「最後までフラットに綴られるフラナリー・オコナー作品のようだ」と感じました。仕事や世間の眼を気にし、かと言って「面倒だから」という理由で積極的に関わらず、大切な人との縁もなくなり、次第に磨り減っていく心と単調故に息詰まる生活の描写が心にいつまでも引っ掛かる。頑張って我慢しても感情を爆発させても行き場がないのは誰も同じ。特に「わらわい」の語り手の笑いに対しての見解に思い当たる節がありすぎて頷いていたら突然、ガラリと変わった口調に背筋が凍る。2018/05/16

keroppi

77
韓国の映画や音楽は、よく触れるが、文学となると初めてかもしれない。現在最も期待される作家と聞いて読んでみた。「誰でもない」人物の切り取られた日常が描かれる短編集。それは、危うくて、不安をかきたてる。吐き出される短い言葉が鋭く刺さる。「誰でもない」人物は、自分かもしれない。2018/10/11

星落秋風五丈原

59
『走れ、オヤジ殿』にも書かれたIMF通貨危機は、韓国を一気にどん底に落とし皆を見えない人にした。『わらわい』という一見?というタイトルの語り手もそうだ。彼女の一人称語りで始まる作品はテーマが「笑い」なのだ。おや、楽しい話になるのかと思いきや、時折彼女の口調が乱暴になる。見えない聞き手と同様に、私たちは病的な匂いを感じながら、彼女の身の上話を聞く。生まれた時から一度も大事にされなかった。善かれと思ってした事が曲解されてしまった。笑いは登場するが、何だか見えない糸でちくちく刺されているようでいたたまれない。 2018/04/10

りつこ

44
韓国の作家の作品をこのところ続けて読んでいるが、一番好きだった。自分の身に覚えがないようなことがらを描いてあってもなぜかとても身につまされて呼吸が苦しくなる。乾いたユーモアに思わずふっと笑いを漏らすと、笑ったことを恥ずかしく思うような展開が待っていたり、かと思えばすべて引っくるめて赦されてると感じる文章があったり。狂気に囚われていたり絶望の淵に立ってる登場人物が多かったがそれでも彼らは死ぬまで生きていくのだろう。そういう力強さがあった。「ミョンシル」「誰も行ったことがない」「笑う男」が特に好き。2018/06/28

あじ

34
韓国文学の翻訳が近年相次いでいる。とても喜ばしい事だ。本書は【韓国文学のオクリモノ】シリーズ第四弾。“現在、最も期待される作家”として、本国で評判のファン・ジョンウンの短編集だ。普段の何気ないシーンで手折る排他な刹那を、幾度も捩じこんでくる感性にあ・うん。弄ばれる窮鼠の気分で読了した。シリーズ第三弾であるキム・エラン『走れ、オヤジ殿』もお薦め。今後のラインナップに期待している。2018/02/20

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