出版社内容情報
日本の喜劇王エノケンとその座付作者・菊谷栄が、二人三脚で切り拓いた浅草レヴューの世界。文化人類学者・山口昌男の〈幻の遺稿〉。
孤高の文化人類学者、〈幻の遺稿〉遂に刊行
日本の喜劇王エノケンとその座付作者・菊谷栄が、二人三脚で切り拓いた浅草レヴューの世界を、知られざる資料と証言で描いた書き下ろし評伝。
文化人類学者の故・山口昌男が、80年代に筆を執ったが、中断したままついに完成には到らなかった。本書は、著者の意志を継いで“幻の遺稿”を整理・編集し、刊行するものである。
第一章 菊谷栄の生い立ち
青森での少年時代/演劇への目くばり/菊谷栄と女性 /「ニコニコ」の若者集団/左翼への接近
第二章 浅草のエノケン・エノケンの浅草
暴れん坊エノケン/役者への道/オペラ芸術研究生/花屋敷の猿に学ぶ/伊庭孝のジャズ・ミュージカル/オペラの凋落/菊谷栄との出会い
第三章 カジノフォーリーの興亡
レヴュウをやるのだ/負の空間としての浅草/カジノフォーリー以前/南天堂の二階で/第一次カジノフォーリー/第二次カジノフォーリー/菊谷栄、エノケンの舞台を観る/カジノフォーリーの人気/エノケンの脱退/カジノフォーリーの終焉/詩人菅原克己の証言
第四章 エノケン一座の誕生
浅草のフィクサー/プペ・ダンサントへの移籍/菊田一夫の『忠臣蔵』/結婚相談所、玉木座?/エノケンとの好対照・二村定一/菊谷栄初期の台本/エノケン一座=ピエル・ブリヤント/『乞食芝居』で牧師役/『サルタンバンク』と『サルタンバンクの娘』/世界初、『リリオム』のオペレッタ化/エノケン一座の新宿進出/菊谷栄の復帰
幕間 菊谷栄の舞台美術
第五章 『歌劇』を読む 宝塚少女歌劇のアルケオロジー
宝塚のファン雑誌『歌劇』/堀正旗の回想/久松一声の自伝/中山太郎との確執/久松一声と宝塚/雑誌編集者の職人芸/白井鐵造の登場/岩村英武・和雄兄弟
第六章 エノケン・レヴューの栄光と悲惨
エノケンと新興写真/拡大する都市のモダニズム/オペレッタ・カルメン/劇評家友田純一郎/世界与太者全集の完結/蘆原英了の見たエノケン一座/内田岐三雄のサーカス道化論/エノケン一座の丸の内進出/エノケンのライバル・ロッパ/低迷する台本作者たち/エノケンと菊谷の思い/菊谷栄と音楽/双葉十三郎の菊谷栄讃/菊谷栄最後の台本
第七章 菊谷栄戦場に死す
菊谷○隊長/菊谷栄没後の評価
【著者紹介】
1931年、北海道生まれ。アジア・アフリカ言語文化研究所教授、同研究所所長、札幌大学学長等を歴任。文化人類学者として、西アフリカ、インドネシア、カリブ海諸国等でフィールドワークを行う。その広い学識は文学・芸術等の分野にも影響を及ぼした。2013年3月逝去。
内容説明
日本の喜劇王エノケンとその座付作者・菊谷栄が、二人三脚で切り拓いた浅草レヴューの世界を、知られざる資料と証言で描いた書き下ろし評伝。先年亡くなった著者の意志を継いで、その“幻の遺稿”を整理・編集し、刊行。
目次
第1章 菊谷栄の生い立ち
第2章 浅草のエノケン・エノケンの浅草
第3章 カジノフォーリーの興亡
第4章 エノケン一座の誕生
第5章 『歌劇』を読む―宝塚少女歌劇のアルケオロジー
第6章 エノケン・レヴューの栄光と悲惨
第7章 菊谷栄戦場に死す
付録 西田幾多郎とメイエルホリドの間のエノケン
著者等紹介
山口昌男[ヤマグチマサオ]
1931年北海道生まれ。アジア・アフリカ言語文化研究所教授、同研究所所長、札幌大学学長等を歴任。文化人類学者として、西アフリカ、インドネシア、カリブ海諸国等でフィールドワークを行う。道化・トリックスターの分析、中心と周縁理論、近代日本の負け派に着目した敗者学等を通じて、国内外の思想界に衝撃を与え、その広い学識は文学・芸術等の分野にも影響を及ぼした。2013年3月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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