内容説明
死後十年以上を経て、いまだに人々から愛され続ける「男はつらいよ」でおなじみの渥美清―。いたずら小僧だった少年期から浅草軽演劇時代、テレビ番組「夢であいましょう」出演のころ、そして「男はつらいよ」の車寅次郎まで。交流のあった作家や友人、研究者らの証言と本人の声を通して、渥美清の生涯をたどって行く。東京下町が生んだ天才の肖像を浮き彫りにする書き下ろし評伝。
目次
1 東京下町文化の語り部
2 戦後上野の無頼派
3 浅草フランス座時代
4 「夢であいましょう」のころ
5 車寅次郎の時代
著者等紹介
堀切直人[ホリキリナオト]
1948(昭和23)年、横浜市生まれ。79年、『日本夢文学志』(冥草舎)でデビュー以降、大正~昭和10年代の作家・作品を取り上げた文芸評論などで活躍。近年、「浅草」四部作で膨大な資料を駆使して、東京下町庶民文化を浮き彫りにした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュラフ
26
このまえBSで『男はつらいよ』がやっていて、その面白さに思わず見入ってしまった。寅さん(渥美清)の口上・話芸はほんとに芸術的だ。渥美清とはどういう人物なのかと手に取った一冊。意外感があったのは、父は元新聞記者、母は元教師というインテリ一家だったということ。だが父は世の中との折り合いをつけることができなかったため渥美清は極貧の少年時代を過ごしたらしい。現実の不幸をまぎわらせるのは笑いだけだった。だからみんなを笑わせるため話術を磨いて学校の人気者になったという。寅さんのもつ温かみの理由が少し分かった気がする。2016/08/27
FK
2
孫引きだが「おれは絶対にワキなんだ」(P.113)、「狂気のない奴は駄目だ」・「それと孤立だな。孤立しているのはつらいから、つい徒党や政治に走る。孤立してるのが大事なんだよ」(P.115)。 少なくともあとの方の「寅さん」を見てる限り、渥美清が本当に心から喜び楽しんでその役をやっていたかどうか。けなす意味ではなく、違和感だ。そしてこの「おれは絶対にワキなんだ」という言葉である。なんとなく私もそう思う。もちろん脇役だからといって光らないわけではない。どころかワキでこそ光る。そんな役者だったような気もする。2008/03/18
ダージリン
2
若くして結核で片方の肺を無くし、死を身近なものとして過ごす中で、ある種の無常観を身につけたのであろうか。どこか冷めた目を持ちながら、役者人生を歩んでいたのではと思わされる。時代背景が全く違うためやむを得まいが、現代にこのような喜劇役者が現れるのは難しいだろう。2014/10/07
Nobuhisa Sekisai
0
渥美清さんの存在を感じることができました。2025/01/26
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