内容説明
忘却の病におかされたフランスの名優クリスチャン・マルカン。闊達な兄の変貌を受容するまでのながく険しい道のり―。深い絆で結ばれた妹が綴る痛切な手記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
水蛇
1
むかし図書館で読んだのをきゅうに思いだして買った。粋で自信にあふれた俳優のクリスチャン・マルカンが誰にもいえないまますこしずつ記憶に穴をあけていく様子を、妹のナディーヌがそばで記録したエッセイ。家に帰るためのメモを隠しもってたのを発見するシーンでは地面が揺らぐ感じがした。もっとドラマティックな実話は巷にあふれてるけど、こういう本はこういう本でひとつひとつを大切にしたい。わたし(読者)を楽しませるためではない、行き場を求めてぽろぽろこぼれるような人間のドキュメント。2024/12/05
