内容説明
かつて、地下は死者の国だった。この闇の世界を自在に走りぬける地下鉄は、いつ誕生し、どのように発達してきたのか。黄泉の国をめぐる古代の神話と伝説。戦争や治水のための地下水道や運河。鉱山と鉄道の発達。そして一匹の船食い虫がもたらした「シールド工法」による、ロンドンのテームズ・トンネルの完成―。以後、パリやニューヨーク、モスクワをはじめ、世界各地に建設された地下鉄と人々の生活の変遷を描きだす、ユニークな文化史。
目次
第1章 黄泉の国への道―トンネル掘削術と神話
第2章 船食い虫と男たち―テームズ・トンネルの開通
第3章 混沌の淵で―鉱山と鉄道
第4章 地下鉄の誕生―ロンドン
第5章 メトロの様式―パリ
第6章 幻の地下鉄―ブロードウェイの封印されたトンネル
第7章 ニューヨーク、高揚す―高架鉄道の夢の行方
第8章 地底に響くダンテの声―増殖する地下鉄
第9章 国家的大事業の悲惨と栄光―モスクワ
第10章 闇の国の住人たち―世界の地下鉄網