内容説明
1960年代はじめのモスクワの街は、自由を謳歌する若々しいエネルギーにあふれていた。スターリン時代に無実の罪で拘束されていた人びとが家にもどり、文学史から抹殺されていた作家や詩人たちが復活しはじめた。そして、大学や工場で開かれる詩の朗読会は、何千という聴衆の熱気でむせかえった。この「雪どけ」の時代の旗手として活躍した若き詩人たち、エフトゥシェンコ、アフマドゥーリナ、オクジャワ。この時期に甦った二人の女流詩人、アフマートワとツヴェターエワ―青春時代を「雪どけ」の息吹きを吸いながらモスクワで過ごしたロシア文学者が、それらの詩人像をとおして20世紀ソビエト詩の運命を浮き彫りにする。
目次
1 ソビエトの女流詩人たち(ベラ・アフマドゥーリナ;アンナ・アフマートワ;マリーナ・ツヴェターエワ)
2 〈雪どけ〉の相貌(永遠の足早な青春―エフトゥシェンコ;歌う詩人―オクジャワ;ベラ、ふたたび)