内容説明
21世紀、十字軍華やかなりし時代のスペイン。キリスト教徒とイスラム教徒がイベリア半島の支配権をめぐってしのぎをけずっている。ユダヤ人イェフダ・イブン・エズラは、イスラム文化栄えるセビリャから、キリスト教勢力が支配するトレドに赴く。カスティリア王アルフォンソ8世の財政顧問として国を豊ませ、トレドに住むユダヤ人をキリスト教徒の迫害から守るには、なんとしても国内の平和を維持しなければならない。イェフダは、血気はやるアルフォンソを戦から遠ざけるため、最愛の娘ラケルを王に捧げる。可憐なラケルとアルフォンソは、7年のあいだ愛の生活にひたる。しかし英国王ヘンリーが逝去すると、スペインにはいよいよ戦雲がたれこめてくる。アルフォンソは、ラケルの愛とイェフダの知恵を捨て、イスラム勢力に戦いを挑むが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
K
10
@ドイツ文学読書会 原題は"Die Jüdin von Toledo"である。本格歴史小説である。舞台は、12世紀、キリスト教とイスラム教が支配権を争うイベリア半島である。政治的流れに沿って話は展開してくが、登場人物たちのそれぞれの思いや策略から目が離せない。話の中心は、やはり王アルフォンソとユダヤ女ラケルを中心とした人間関係だろうか。アルフォンソの正妻レオノアは嫉妬は深く、これが大きな事件を引き起こす引き金になっているのではなかろうか。どの人物に焦点をあてて読むかで見方は大きく変わって来るだろう。2022/10/05




