出版社内容情報
なにもない空間――そこに一人の男が立ち、そして彼を見つめるもう一人の人間。演劇が成立するためにその他になにがいるだろう。貧困と豊饒、純粋と混沌が背中あわせの場所。劇場とはわれわれの生きる世界そのものなのだ。今日の演劇に失われた真の全体性を求めて、鬼才演出家ブルックが演劇的表現の真髄を証した異色の論集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吟遊
7
現場の演出家、しかも百戦錬磨の方?が書いているのでおもしろい。演劇の分類はともかく、最後の章の演劇論は、俳優や観客とのナマの関係を描いていて、圧巻。肯定的な力にあふれる。2019/07/30
ヨー
5
☆☆☆☆2019/05/16
ときお
2
気に入った文言。「〈死ぬほど退屈〉とは〈死んでしまっている〉ということと同義ではない。むしろ〈うんざりするほど活発〉なのだ。」2014/08/13
MaRuTaTSu
1
「必然のなりゆきとして、悲劇は再び<原典に即して>演ぜられるべきだと主張するものが現れる。これはこれでまことに結構なことだ。しかし不幸なことに活字からわたしたちが知ることができるのは、紙に何が書いてあったかということだけで、それがかつてどのように命を吹き込まれていたかということはわからない。」(12頁)2016/06/29
zzz
1
なぜこの本は普遍的なのか。ここに書かれているのは、当時の演劇シーンを追っている記述ではなく、それに対する疑い。考えるのではなく、疑って苦しむ。なにもない空間。人間に、楽観できる自由なんてない。2014/09/13