内容説明
書評とは文章の大冒険だ。17年間にわたる書評・エッセイ47本でたどる、現代最狂のアナキスト文人、生成の軌跡。
目次
アナーキズム研究の新展開(田中ひかる『ドイツ・アナーキズムの成立』)
あらゆる債務を帳消しに!(ミレー+トゥーサン『世界の貧困をなくすための50の質問』)
怨念の労働(笙野頼子『金毘羅』他)
古くて新しいゼネストという希望(遠野はるひ・金子文夫『トヨタ・イン・フィリピン』)
グリーンキャピタリズム批判にむけて(高祖岩三郎『新しいアナキズムの系譜学』)
二〇一一年三月、地震と津波がおきて、原発が爆発した。
二〇一七年、元祖アナキスト・一遍上人の伝記をかいた。
二〇二〇年春、コロナで支配がつよまった。
著者等紹介
栗原康[クリハラヤスシ]
1979年埼玉県生まれ。政治学者、作家、大学非常勤講師(東北芸術工科大学ほか)。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。専門はアナキズム研究。2017年、第10回「池田晶子記念 わたくし、つまりNobody賞」受賞。『大杉栄伝―永遠のアナキズム』(夜光社2013、第5回いける本大賞)など多数の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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厩戸皇子そっくりおじさん・寺
72
これまた年末に出たベストテンに入らない良書の一冊。ユニークな文体でお馴染みのアナキズムの学者・栗原康の書評集。文庫の解説や対談、書き下ろしも混じっている。あのユーモラスで軽妙な文体は、東日本大震災以降だとわかる。紹介されている本のいくらかは読んでいるが、読んでいるうちにあれこれ触発されて、講談社学術文庫の水滸伝や、『大菩薩峠』を読みたくなってくる。ブレイディみかこも不可視委員会も早助よう子も読みたくなってくる。栗原さんがデヴィッド・グレーバーをどう思っているかを知りたかったので、書き下ろし部分も満足。2020/12/30
冬佳彰
13
これは面白かった。俺としては、近年まれに見る面白い書評集だった。たまに書評でもない、著者のアナキズム思想の表明がほとんどであったりもするのだが、当たり障りのない書評よりもずっと伝わってくる(ような気がする)。書評の価値って「おお、それ、読みたいっ!」と思わせるところにあると思うんだが、本書のヒット率って、俺にはかなり高かった。知らない著者の本も沢山あった。ああ、「大菩薩峠」だけは23歳くらいの頃に五巻目でギブアップしたんで、再チャレンジしようとは思ってないが。「ニヒルをこじらせるな、つきぬけろ」分かった。2021/05/07
ロア
12
昔はいたって真面目な文体だったのね(*´ω`*)普通の書評とはまた違ったラインナップで、読みたい本がまた増えた。2021/03/16
チェアー
7
伸びやかでいられるか。自分の最大の敵である内なる自分、枠にはめようとする自分を乗り越えられるか。この人の評論や書評を読むと、その内容よりも突き抜けた書きぶり、生きっぷりを感じ、自分のあり方を考えさせられる。2021/03/16
古本虫がさまよう
6
アナキストである著者が読んだ本を紹介している書評エッセイ本。この本の中で、僕が読んでいる本は、砂古口早苗氏の『起て、飢えたる者よ [インターナショナル]を訳詞した怪優・佐々木孝丸』ぐらい。これは結構面白い本だった。 そんな本があるのかという感じで読んでみたいなと思う本が多々あった。とても参考になる書評エッセイ本だ。ありがたい。 平井玄氏の『ぐにゃり東京 アンダークラスの漂流地図』 (現代書館)など‥‥。図書館にだいたいあるみたい? 買ってまで‥読むのは大変だし。そのうち読み進めることにしましょう。 2021/03/07