内容説明
空気、海洋、氷河、気象、土壌、生命…地球上のあらゆる抗議者が声を上げている。人間‐自然、グローバル‐ローカル、右派‐左派…「近代」的二分法を問い直す。「テレストリアル」的政治の獲得に向けた思考実践。名著『虚構の「近代」』の著者による、覚醒的緊急アピール。
目次
政治的フィクションという仮説―規制緩和と格差の爆発的増大と気候変動の否認は同じ一つの現象である
米国がパリ協定の離脱表明を行ったおかげで、私たちはどのような戦争が幕を切って落とされたのかをはっきりと知るようになった
移民の問題はいまやすべての人にとっての問題となった。それが新たな邪悪な普遍性をもたらす。すなわち、誰もが足下の地面を失うということだ
プラスのグローバリゼーションとマイナスのグローバリゼーションとを混同しないように心がけなければならない
グローバル主義者の支配階級は連帯の重荷のすべてを少しずつ投げ捨てていくことに決めた。それはどのように決められたのか
共有世界の廃棄は認識論的譫妄状態を引き起こす
第3のアトラクターの登場が、ローカルとグローバルの二極に分断された近代の古典的組織を解体する
トランプ主義が発明されたおかげで、第4のアトラクター「この世界の外側へ」の存在を知ることができた
私たちがテレストリアルと呼ぶアトラクターを見出したことは、新たな地理政治的組織を確認することにつながった
なぜ政治的エコロジーの成功は、賭金に見合う成功に一度たりとも結びつかなかったのか
なぜ政治的エコロジは、右派/左派の二分法から逃れることがそれほど難しかったのか
社会闘争とエコロジー闘争をうまくつなげるにはどうすればよいか
階級闘争が地理‐社会的立場間の闘争に変わる
ある種の「自然」概念が政治的立場を凍結した。そのメカニズムの理解を、歴史を通る迂回路が可能にする
右派/左派を二分する近代的視点によって「自然」は固定されてきた。その呪縛を解かなければならない
「物理的対象からなる世界」は「エージェントからなる世界」が備える抵抗力を持ちえない
クリティカルゾーンの科学は、それ以外の自然科学とは持っている政治的機能が異なる
生産システムと発生システムのあいだに生じる矛盾が増大している
居住場所を記述する新たな試み―フランスで実施された苦情の台帳づくりを一つのモデルとして
旧大陸を個人として弁護する
著者等紹介
ラトゥール,ブルーノ[ラトゥール,ブルーノ] [Latour,Bruno]
1947年フランスのボーヌ生まれ。哲学者・人類学者。現在、パリ政治学院のメディアラボ並びに政治芸術プログラム(SPEAP)付きの名誉教授。2013年ホルベア賞受賞。専門は科学社会学、科学人類学。アクターネットワーク理論(ANT。人間と非人間をともに「行為するもの」として扱う新たな社会理論)に代表される独自の社会科学の構想やANTをベースにした独自の近代文明論で著名。代表作『虚構の「近代」』ではポストモダンではなくノンモダンへの転換の必要性を説き、近年は近代文明が生み出す地球環境破壊、圧倒的な経済格差の問題を正面から取り上げ、問題解決のための政治哲学的分析に力を注ぐ
川村久美子[カワムラクミコ]
上智大学卒業後、コーネル大学にて社会学修士号、東京都立大学にて心理学博士号を取得。東京都市大学メディア情報学部教授を経て、同大学名誉教授。専門は環境社会学、科学社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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たばかる
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roughfractus02
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Sanchai