出版社内容情報
『ギヴァー』ファンのみなさま、長らくお待たせいたしました。シリーズ四部作の完結編(原題:SON)をお届けいたします。
物語は、ひとりの男児の誕生からはじまります。彼を産んだのは、14歳の少女クレア。12歳で〈出産母〉を任命された彼女の、これが初産でした。〈コミュニティ〉では、すべての新生児は厳重な管理下におかれ、やがて「適正な養親」の手にわたります。母子は産後すぐにひきはなされ、二度と会うことはできません。クレアも掟にしたがい、わが子をあきらめようとします。しかし、どうしてもあきらめきれません。とかくするうち、男児は「社会不適合」の烙印をおされ、処刑が確定します。
この赤ん坊がだれか、みなさますでにおわかりでしょう。そう、ジョナスの運命を変えたゲイブです。つまり本作は、ゲイブとその母の物語です。
もちろん、作者は寓話の達人ですから、それだけで話はおわりません。前作『メッセンジャー』の世界に暗い影をおとした〈トレード・マーケット〉の謎が、クレアたち母子をまきこみつつ、善と悪の最終決戦へと発展していきます。そこにジョナス、そして第二作の主人公キラ、前作で非業の死をとげたマティもからんできます。
そして、これもいつもどおり、スリリングな展開のあわいにいくつもの問いが埋めこまれています。まつろわぬ自然の象徴としての赤ん坊。代理出産やデザイナーベイビーをめぐる生命倫理の問題。当然視されている「取引」や「交換」という行為の陥穽。「力」「旅」「記憶」の意味……シリーズ全作にいえることですが、今回も思索と対話をうながす教養小説としての醍醐味に溢れています。
はたしてクレアとゲイブは、母子として再会することができるのか。それを阻もうとする邪悪な「力」に、ジョナスたちはどのように立ちむかうのか。現代の『オデュッセイア』ともいうべき壮大な物語の環が、おどろくべき仕方で、しずかに閉じてゆく瞬間をお見逃しなく。(しまづ・やよい)
ロイス・ローリー[ロイスローリー]
著・文・その他
島津やよい[シマズヤヨイ]
翻訳
内容説明
少女は14歳で“イレモノ”となり、“産品”を身ごもった。やがて産まれた男児には、ある「欠陥」があった―はたして少女は“母”になることができるのか?全世界1,200万部のミリオンセラー『ギヴァー』(2014年映画化)、その続編『ギャザリング・ブルー』『メッセンジャー』で提起されたすべての謎が、いま解き明かされる!“ギヴァー4部作”堂々完結。
著者等紹介
ローリー,ロイス[ローリー,ロイス] [Lowry,Lois]
アメリカの児童文学作家。1937年ハワイに生まれる。連合国陸軍の歯科医将校だった父について各地を転々とし、第二次世界大戦が終結してまもない1948~50年、11歳から13歳までの少女時代を東京で過ごす。1977年、夭逝した姉の思い出を題材とした処女作A Summer to Die(邦題『モリーのアルバム』)を発表、高く評価される。ナチス占領下のデンマークを舞台に、自由と友情を求める少女の姿を描いたNumber the Stars(邦題『ふたりの星』)と、The Giver(邦題『ギヴァー 記憶を注ぐ者』)で、世界的に名高い児童文学賞「ニューベリー賞」を受賞(1990年度と94年度)
島津やよい[シマズヤヨイ]
1969年生まれ。91年早稲田大学第一文学部卒。人文書出版社での勤務を経て翻訳・編集業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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