出版社内容情報
「住み慣れた地域で最期まで」を実現するための方策とは?北欧・欧米の豊富な事例を基に、日本の課題を実証解明。
本書のタイトルである「エイジング・イン・プレイス(地域居住)」とは、日本流に言えば「住み慣れた地域で、その人らしく最期まで」ということである。欧米諸国では、戦後の経済成長を背景に大規模施設が建設されたが、1980年代には施設に代わる高齢者ケアの体系として「エイジング・イン・プレイス(地域居住)」という概念が登場した。その基盤となるのが自立型高齢者住宅である。日本においても、2005年特別養護老人ホームの国庫補助が打ち切られ、2006年からは介護保険に地域密着型サービスが登場して、制度上は「エイジング・イン・プレイス(地域居住)」の道程を歩み始めた。しかし、この概念に込められた「地域で自立して生きる」ための高齢者住宅の建設や在宅24時間ケアの整備は一向に進まないのが現状である。本書では、「エイジング・イン・プレイス(地域居住)」という概念とそれを支える理論を整理しながら、アメリカ、イギリス、オランダ、デンマークの現状を紹介する。その上で「住まいとケアの分離」によって独自の道を歩んだデンマークに着目し、日本・デンマーク両国の高齢者住宅住人へのインタビュー調査等によって、日本の課題を実証的に明らかにしていこうというのが、本書のねらいである。
住人の声に耳を傾けることによって明らかとなったのは、彼らが、施設に移り住むことなく高齢者住宅で最期を迎えたい、と強く望んでいる姿であった。地域に開かれた自立型住宅づくり、在宅24時間ケアの整備、住宅での看取りなど、世界視野とエビデンスに基づく研究から、今なお施設依存の強い日本が忘れている重要な視角が見えてくる。(著者 松岡 洋子)
内容説明
脱・高齢者住宅。世界を見つめ、高齢者の声に耳を傾けながら…「エイジング・イン・プレイス」の先を読む。
目次
第1章 エイジング・イン・プレイス(地域居住)とは
第2章 「住まいとケアの分離」理論
第3章 地域居住へ向けての各国の取り組み
第4章 デンマークにおける地域居住と高齢者住宅
第5章 日本における地域居住と高齢者住宅
第6章 日本とデンマークにおける高齢者住宅住人調査
終章 未来へ向けての考察と提言
著者等紹介
松岡洋子[マツオカヨウコ]
東京家政大学特任講師。1955年、兵庫県生まれ。1977年神戸大学文学部卒業。1997年、コペンハーゲン商科大学(国際コース)半期留学。2003年、関西学院大学大学院社会福祉学研究科後期課程満期退学。社会福祉士、博士(社会福祉学)。2009年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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