出版社内容情報
時は近未来。生まれ育った理想郷の秘密を知った少年は、真実をとりもどす旅に出る…SFの古典的名作が新訳で再生!
本書は、アメリカの児童文学作家による近未来小説です。とはいえ、その魅力はとうてい児童文学の枠に収まるものではありません。シンプルかつ綿密な設定、心おどるストーリー展開、とぎすまされた文章、そして人生について深く考えさせる巧みな構成は、大人から子どもまで幅広い年齢層の読者を魅了しました(原作は累計530万部を記録)。日本でもいちど邦訳(掛川恭子訳『ザ・ギバー』講談社、1995)が出ましたが、残念ながら絶版となっていました。しかしその人気は根づよく、大勢の「ギバー・ファン」たちがインターネット上で作品の魅力を語り合い、またこんなふうに嘆きあってきました。「これほどおもしろい本が手に入らない、人に薦められないのはもったいない」。今回の新訳版は、(訳者を含めた)そうしたファンたちの思いの結晶でもあります。作品の舞台は遠からぬ未来(あるいはひょっとしたら現代)、管理社会下の人間の葛藤を描いたディストピア寓話です。最小の道具立てで極上のエンターテインメントが展開していき、あっというまに物語の中にひきこまれます。しかも、家族、職業、愛、生と死、幸福、歴史と未来など、私たちが生きているかぎり考えつづけるであろう重たい、けれども大切な問題についてのヒントが、静かに、深く、豊かに織りこまれています。最後にあらすじをほんの少し。主人公はもうすぐ12歳になる少年で、名前をジョナスといいます。彼の住むコミュニティは、いっさいの苦痛も不便もなく、とても安全・平穏で、まさしく理想郷です。けれど、そこには何か重大なものが欠けているようです。まもなく12月、すべての子どもが職業を授けられる「12歳の儀式」の日が訪れ、ジョナスはコミュニティでただ一人の「記憶の器」【レシーヴァー】に任命されるのですが…。このつづきはぜひ、新訳版で。(訳者 島津やよい)
内容説明
いかなる不便もない。争いやもめごとは起こらない。飢餓も貧困もない―生活からすべての苦痛がとりのぞかれたコミュニティは、まさに理想郷に見えた。しかしその成立の秘密を知った時、少年は故郷を脱出し、世界を「より完全な姿」に戻すための旅に出る…緊密かつシンプルなプロット、とぎすまされた簡素な筆致、心ふるわせるストーリー展開、人間の生への深い洞察によって全世界を魅了しつづける近未来SFの傑作、待望の新訳!1994年度「ニューベリー賞」を受賞。
著者等紹介
ローリー,ロイス[ローリー,ロイス][Lowry,Lois]
アメリカの児童文学作家。1937年ハワイに生まれる。連合国陸軍の歯科医将校だった父について各地を転々とし、第二次世界大戦が終結してまもない1948~50年、11歳から13歳までの少女時代を東京で過ごす。1977年、夭逝した姉の思い出を題材とした処女作A Summer to Die(邦題『モリーのアルバム』)を発表、高く評価される。ナチス占領下のデンマークを舞台に、自由と友情を求める少女の姿を描いたNumber the Stars(邦題『ふたりの星』)と『ギヴァー―記憶を注ぐ者』で、児童文学賞「ニューベリー賞」を受賞(1990年度と94年度)
島津やよい[シマズヤヨイ]
1969年生まれ。91年、早稲田大学第一文学部卒。人文・社会科学系出版社数社での勤務を経て、現在、翻訳・編集業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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