出版社内容情報
「平成の大合併」により、市町村の数は大きく減少している。1999年3月末には3232であったのが、07年3月末現在では1808となった。特に「村」の減少が著しく、この間に568から195に激減している。
残った「村」のいくつかを観察すると、自立できるだけの個性を備えている「村」か、あるいは周囲から受け入れられなかった「村」のどちらかのように見える。いずれにおいても、今後、それなりの力を蓄えていかないと、自立の道も、どこかとの合併の道も危うい。今、まさに「村」が日本に残りうるかの分岐点に立っている。
現在、市町村の意味も大きく変わってきた。一方で、効率化を意識する広域行政が求められ、他方で、小まめな対応が求められる。この数年で、問題の所在とこれからの進むべき方向も見えてくるのではないかと思う。
「平成の大合併」以来、合併町村は早い所ですでに2~3年を経過している。単独村制を採った「村」では、ごみ処理、し尿処理、救急といったこれまで広域で対応してきたサービスの分担金の値上げを求められるなど、意外な問題に直面している。また、合併により消滅した「村」では、かつての村役場が支所になり、人員削減、権限喪失などに直面し、村人が楽しみにしていた「祭り」も開催されなくなるなど、辺境性を深く実感させられている。
おそらく、現在求められているのは、自立しようとする「村」が存続できる新たな仕組み、そして、合併した地域がバランスのとれた歩みを重ねていくための仕組みを考えていくことではないか。本書はそのような問題の中から、単独村制を採った「村」が、これからどのようにしていくのか、その具体的な姿からこれからの日本の「地域」を考えていくことにしたい。
内容説明
「平成の大合併」以来、568→195へと激減した日本の「村」。存続のために、また合併後のバランスのとれた歩みのためにいま何が必要か。人びとの熱い思いが結晶した10か村の実践から、「村」としての地域づくりを展望する。大好評『地域ブランドと産業振興』『「食」の地域ブランド戦略』につづく待望の続編。
目次
「村」がブランドの時代
第1部 特別の歴史や環境のある「村」(まるごと博物館の村―奈良県明日香村;伝統工芸を背景にする村―沖縄県読谷村;農村と都市がうまく交差してきた五万人の村―岩手県滝沢村;ペンションを軸とした「村」ブランドの構築―長野県原村)
第2部 農業、農産物をブランド化した「村」(農業をブランド化した村―北海道中札内村;東京で農産品をブランド化する村―東京都桧原村;「濁酒特区」でブランド化―高知県三原村)
第3部 辺境の地でガンバル「村」(辺境の「村」のコミュニティビジネス―岡山県新庄村;森のめぐみのブランド化―宮崎県諸塚村;離島隠岐における独自の生き方―島根県知夫村)
「村」の自立とブランド化
著者等紹介
関満博[セキミツヒロ]
1948年生まれ。1976年成城大学大学院経済学研究科博士課程修了。一橋大学大学院商学研究科教授。博士(経済学)
足利亮太郎[アシカガリョウタロウ]
1970年生まれ。1998年京都大学大学院文学研究科修士課程修了。甲陽学院高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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