出版社内容情報
【大地と人間の記憶/あるプール人の自叙伝】マリが生んだ偉大な語り部が,アフリカの自然,人々の暮らし,超自然と信仰,共同体の絆を壮大なスケールで描く〈人間の歴史〉。
西アフリカ・マリ族が生んだ偉大な作家の半世紀の自叙伝でありながら、自伝という枠を越えて、日本人にとっていまだ「知られざる大陸」である〈アフリカ世界〉の真実の姿が如実に描かれている。そして、「自然の声を聞く」知識のあり方、夢や呪術tが生きている暮らし、家族や共同体の愛の絆、祖先への畏敬の念、異なる文化と交わる喜びなど、私たち日本人がいつからか失いつつある人間の尊厳、〈いのちの泉〉が湧きだしている。 何よりも、一度ページを開いたらあっという間に引き込まれる面白さは圧巻。著者の一族がたどる波瀾万丈の運命や、19世紀フランスの植民地主義、陰謀や圧政のなかで精一杯生きる人々の生活、飢餓や戦争、イスラム教の伝播など、さまざまな歴史的事件が生き生きと描かれる。一つの家系の歴史から編み出される壮大な〈人間の歴史〉という点で、アフリカ版『百年の孤独』とも言える濃密な物語世界が展開される20世紀最大の名著である。
内容説明
偉大な語り部がつむぐ知られざるアフリカとそこに棲む人々の生きた歴史。自然がもたらすあらゆる知識、家族や友への愛、共同体の絆、祖先への畏敬の念、異なる伝統を持つ人々と心を交わす喜び。われわれがいつからか失ってしまった「いのち」の泉がここにある。
目次
第1章 ルーツ
第2章 カディジャ、私の母
第3章 流刑
第4章 バンディアガラへの帰還
第5章 白人学校にて
第6章 カティ、軍隊の街
第7章 バマコ、最後の学業
著者等紹介
バー,アマドゥ・ハンパテ[バー,アマドゥハンパテ][B^a,Amadou Hamp^at´e]
西アフリカ・マリが生んだ偉大な作家・歴史家であり、哲学者、民族学者、詩人そして語り部でもある。呪術と超自然に満ちた、奇想天外でありながらも事実に即したアフリカの物語を数多く遺した。1900年、マリのバンディアガラにプール人の子として生まれ、コーラン学校、白人学校などを修了後、マリや隣国オート・ヴォルタ(現在のブルキナ=ファソ)で公務員、通訳、秘書などを務めたあと、1942年頃から黒アフリカ・フランス学院で仕事を始める。51年にはユネスコの給費生として1年間フランスに留学。以後もたびたび渡仏し、フランスの海外ラジオ放送などにかかわる。その後マリに戻り、マリ人文科学協会を設立。その会長を務めながら、1991年アビジャンで没するまで、プール人の伝承文学などの研究に携わり、数々の物語の発掘・紹介にあたった。プール人の秘儀やアフリカにおけるイスラムを紹介した著作のほか、類いまれな物語の数々で世界を魅了しつづけている
樋口裕一[ヒグチユウイチ]
1951年大分県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程修了
山口雅敏[ヤマグチマサトシ]
1967年群馬県に生まれる。中央大学大学院修士課程修了。フランス文学専攻。現在、中央大学非常勤講師などを務める。専門領域はフランス現代文学
冨田高嗣[トミタタカツグ]
1968年東京都に生まれる。中央大学大学院修士課程修了。フランス文学専攻。現在、中央大学非常勤講師などを務める。専門領域はフランス演劇
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