出版社内容情報
「天皇」の扱いや「接吻」場面の奨励など、占領軍の検閲で日本映画の何が変わったのか。原資料と関係者取材で検証した画期的な労作。
内容説明
天皇と接吻―それは占領軍が映画検閲の対象とした事項の代表例である。天皇陛下の扱いは微妙な問題を含んでいたので、研閲官は神経質になった。また、キス・シーンはアメリカ民主主義のシンボルとして大いに奨励された。検閲官と映画人たちの応酬は誤解に満ち、ある意味で滑稽でもあった。本書は、のちの日本映画および日本文化に決定的影響を及ぼしたといわれる検閲の実態を、原資料と関係者への取材を通して初めて明らかにした画期的労作である。日本映画ペンクラブ賞、川喜多賞受賞作。
目次
第1部 戦争から占領へ
第2部 禁止された題材
第3部 天皇の描き方
第4部 奨励された題材
第5部 『わが青春に悔なし』
第6部 東宝争議
第7部 冷戦下の米国の政策
著者等紹介
平野共余子[ヒラノキョウコ]
1952年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。東京大学人文科学研究科比較文学比較文化専攻修士課程、東京大学新聞研究所を経て、1976‐77年旧ユーゴスラヴィア政府給費留学生としてベオグラード大学大学院映画学科に留学、1979年フルブライト奨学生としてニューヨーク大学大学院映画研究科に留学し博士号取得。1986年より2004年までニューヨーク市のジャパン・ソサエティでアメリカにおける日本映画紹介に携わり、その活動と著書『天皇と接吻』(草思社)で日本映画ペンクラブ賞、川喜多賞受賞。ニューヨーク大学、ニュー・スクール大学、テンプル大学ジャパン・キャンパス、明治学院大学などでも非常勤講師を務めてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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