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内容説明
すべては「命のバトン」をつなぐために―ゾウ、サケ、セミ、ミツバチ…生命の“最後の輝き”を描く哀切と感動の物語。
目次
空が見えない最期―セミ
子に身を捧ぐ生涯―ハサミムシ
母なる川で循環していく命―サケ
子を想い命がけの侵入と脱出―アカイエカ
三億年命をつないできたつわもの―カゲロウ
メスに食われながらも交尾をやめないオス―カマキリ
交尾に明け暮れ、死す―アンテキヌス
メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス―チョウチンアンコウ
生涯一度きりの交接と子への愛―タコ
無数の卵の死の上に在る生魚―マンボウ〔ほか〕
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
299
生き物の死にゆく姿を生物学的に解説したエッセイです。身近なのから初めて名を聞くものまで、29種の生き物の最期を、著者が詩的に謳いあげています。生き物が命をつなぐという一点において、進化を重ねているのだと再認識しました。本書は、トリビア感が満載で知識欲を搔き立ててくれます。それぞれの生き物たちへ向けた著者の結びの言葉が、切ないほどの感動を呼び起こします。生き物たちの最期はドラマチックなのです。子をなし次への世代につなぐ事が、本来の生き物の使命なのであれば、人間が一番それを蔑ろにしているのかもしれませんね。2020/06/20
Nao Funasoko
267
様々な生き物の生と死。生と死の間にある生殖という行為。これらを時には文学者のようにロマンチックに、時には自然科学者としてのリアリズムを持って語られる。 そして、どの生物のエピソードを読んでも「では、人間は?」とちょっと哲学的に考えさせられたりもして。 大人な夏休みに相応しいリラックスして読める一冊だった。2019/08/16
Apple
254
動物たちは、生きるために生きるのだ、あるいは子孫を残すために命を尽くすのだ、という指摘に感銘をうけました。サケやウミガメ、カマキリなど人気生物だけでなくハサミムシやシロアリ(女王アリ)、蚊についても語られており、どれも儚い感じもありつつ勉強になりました。 文中にも述べられていますが、人間も結局は多くの部分で彼らと共通していると思いました。色々と考える余地のある、すごい本でした。2021/07/07
kinkin
245
29種類の昆虫や魚、哺乳類などの死にざまについて書かれている。個人的には死にざまという言葉は大嫌いだがここに挙げられている生き物たちの壮絶な死を読むとそんな言葉もありかなと感じた。長い歴史の中でプログラムされた遺伝子に基づいて死を繰り返す生き物たちの死は読んでいて切なく感じた。人と人が殺し合ったりする人間という動物の愚かさも同時に考えてしまう。その人間は自分たちだけに限らず他の動物は当たり前のように傷めつけ殺す。読みやすい本だ。おすすめ。図書館本2019/10/27
読特
226
生殖遂げて命を全うする。自らの体を生まれてくる子供の栄養にする。生きて来たのは命をつなぐため。遺伝子がそう趣向するようプログラムされている。種の保存に献身するのが使命であり宿命である。力のある生き物は子の生誕後も生き、子育てをする。その方が種の存続に有利であるから、子育てがうれいしと感ずる。知性を持った人類。種の保存のための欲求を個体の幸福に転化できるようになる。生殖や子育てだけが人生の目的ではなくなる。遺伝子が仕組んだ運命からも解放されたように見える。一方、一つ間違えば種の絶滅を自ら招く危うさも持った。2022/11/05