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出版社内容情報
東京は「上がる街・下がる街」が入れ替わりやすい宿命にある都市であり、下がり続けてスラム化する街もありそうでない。そして、その「上がる・下がる」の命運に大きな影響を与えているのが「交通」の変化なのである――。
地方からの人口流入が止まったことで、東京でもいよいよ人口減少が始まり、高齢化が深刻化する。しかし、そんな中でも、新たに若者や子育て世代を引き寄せる街や、オフィスビルの建設ラッシュに沸く街、郊外型ショッピングセンターや物流倉庫が集中して活況を呈する街が新たにできている。東京が衰えゆくのは確かだが、均一に衰えていくわけではない。それどころか、街によっては以前より栄えるところも出てくるほどだ。なぜなのか?
東京はもともと、交通が未完成な都市で、鉄道ばかりが先行して発達し、道路の建設がまったく追いついていなかった。その状況はいまでも変わりなく、道路は計画の60%しか完成していない。また、他国の鉄道と違って、日本の鉄道は民間会社がそれぞれに個別に開発していることから、サービスが統合されておらず、利用者からすると不便な面が多かった。
その不便さ・未完成さは、よく言えば、改善余地・フロンティアでもある。近年、路線間の直通運転がはじまったことで、沿線の街の魅力度が急にアップ、今まで見向きもされなかった街に、急に注目が集まるようになった。道路の建設も地道に続けられ、中央環状線や外環道、圏央道の延伸・完成により、渋滞が減少、環状線沿線に大規模なアウトレットモールや物流拠点が作られるようになり、それら地域は急激に活性化している。東京の街の盛衰を生み出す活力源=「交通」から、東京の未来と、今後「上がる街」を探る。
はじめに
第1章 「上がる街」と「下がる街」が入れ替わる都市=東京
1・1 東京が巨大で未完成な理由
○東京は世界屈指の巨大都市
○東京は道路があまりに未発達・未完成?
○鉄道偏重なのは鉄道が創った都市だから
1・2 近年の「上がる街・下がる街」の入れ替わりを追う
○ランキングで見る人気の街の推移
○鉄道の利便性が街の順位を変えた
○「上がる街・下がる街」入れ替わりが東京を発展させる
第2章 交通から見る「いま東京で起きていること」
2・1 戦後の人口増加で交通インフラ整備が急務に
○50年代の自動車急増で道路交通が逼迫
○都市空間を二重・三重に利用する地下鉄と首都高
2・2 いま東京の人口に何が起きているか
?東京一極集中
?都心回帰の動き
?街の再開発
?少子高齢化と人口減少
?外国人の増加
?自治体間の競争の激化
?労働環境の変化
○東京圏の人口分布はまだらに変動している
2・3 いま東京の鉄道になにが起きているか
○もう開発すべき鉄道は少なく、沿線開発も飽和
○21世紀の路線新設の影響を振り返る
○複々線化による輸送力増強が進む
○直通運転による乗り換え解消
○着席サービスの導入が進む
○街の再開発で駅利用者が急増し対応に追われる
2・4 いま東京の道路でなにが起きているか
○「3環状9放射」の整備が進み渋滞が減少
○渋滞緩和に伴い高速バスが発達
○物流と商業の拠点が郊外の環状道沿いに移転
○都心と臨海部結ぶ環状2号の整備が進む
第3章 図で見る上がる街と下がる街
○23区さえも消滅の危機に瀕す――人口増減地図
○東京都以外の郊外の状況はより深刻
○人口減少・高齢化の影響を鉄道はどう受けるか
○道路の通行台数からの分析は少ない
第4章 交通事業者のリーダーに聞く「東京の将来」
4・1 直通運転が人々の行動と街を変えた――JR東日本
○東京圏JRの混雑率は30年で71ポイント減
○湘南新宿ラインと上野東京ラインが混雑緩和に寄与
○列車運行における今後の施策は3つ
○利用者が増え続ける武蔵小杉駅への対応
○高輪ゲートウェイ駅の新設と渋谷駅の改良
○利用者数減少へどう備えるか
○労働者不足にどう対応するか
○JR東日本沿線の「上がる街」ベスト3
4・2 地下鉄大改造と駅の機能更新に尽力――東京メトロ
○地下鉄整備で「上がる街」が都心から外側に広がった
○混雑緩和・遅延抑制のための「地下鉄大改造」
○東京の地下鉄は工事中も運休が許されない
○都とともに進める地下鉄駅周辺の再開発
○日比谷線に虎ノ門駅がなかった理由
○銀座線渋谷駅の大改造で人の流れがまた変わる
○都営線とのサービス一体化は着実に
○働き方改革やモビリティ革命に脅威感じる
○東京メトロ沿線の「上がる街」ベスト3
4・3 道路ネットワーク充実の効果に期待大――首都高速
○予想外の「上がる街」誕生で計画変更したことも
○利用は増加中、短距離利用も増えている
○依然として重要な都心環状線の機能
○交通情報を充実、首都高の「使い方」を進化させる
○人口減・カーシェア・働き方改革などの影響
○深刻な労働者不足にどう対応するか
○自動運転が実現すれば事故と渋滞が減る
○3環状整備で首都高も街路もより使いやすくなる
○首都高沿線の「上がる街」ベスト3
第5章 東京を「上がる都市」にするために
5・1 いま東京に求められることは何か
○持続的に発展する成熟都市となる方法
○なぜ国際競争力を高める必要があるのか
○都市の魅力を発信する
○外国人が住みやすい環境を整える
○24時間活動しやすい街をつくる
5・2 東京の交通に求められることは何か
○東京の交通に多く残る「利便性向上」の余地
○高度情報化や少子高齢化などの「新時代への対応」
5・3 交通が変わることで東京も変わる
○東京は交通の整備が遅れた都市である
○交通の未完成さは将来への「伸びしろ」だ
川辺 謙一[カワベ ケンイチ]
著・文・その他
内容説明
東京は人口減少前夜。それでも「上がる街」は生まれ続ける。3社沿線の3大「上がる街」も掲載。繁栄する街を生み続ける不思議な都市。その活力源は「交通」にある!JR東日本/東京メトロ/首都高のリーダーのインタビュー収録。
目次
第1章 「上がる街」と「下がる街」が入れ替わる都市=東京(東京が巨大で未完成な理由;近年の「上がる街・下がる街」の入れ替わりを追う)
第2章 交通から見る「いま東京で起きていること」(戦後の人口増加で交通インフラ整備が急務に;いま東京の人口に何が起きているか;いま東京の鉄道になにが起きているか;いま東京の道路になにが起きているか)
第3章 図で見る上がる街と下がる街(23区さえも消滅の危機に瀕す―人口増減地図;東京都以外の郊外の状況はより深刻;人口減少・高齢化の影響を鉄道はどう受けるか;道路の通行台数からの分析は少ない)
第4章 交通事業者のリーダーに聞く「東京の将来」(直通運転が人々の行動と街を変えた―JR東日本;地下鉄大改造と駅の機能更新に尽力―東京メトロ;道路ネットワーク充実の効果に期待大)
第5章 東京を「上がる都市」にするために(いま東京に求められることはなにか;東京の交通に求められることはなにか;交通が変わることで東京も変わる)
著者等紹介
川辺謙一[カワベケンイチ]
交通技術ライター。1970年三重県生まれ。東北大学大学院工学研究科修了後、メーカー勤務を経て独立。高度化した技術を一般向けに翻訳・紹介している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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