目次
歴史篇(古代期のチベット;皇帝家の失墜と仏教の復興;モンゴル政権・明朝中国との接触とチベット社会の変容;ダライ・ラマ政権成立前後のチベットと東方ユーラシア;ダライ・ラマの即位を巡る争いと清朝の影響力のはじまり;チベットと近代世界;現代チベット社会の形成と展開)
宗教篇(インド仏教中観派のチベットへの展開;チベット仏教思想史の再構築に向けて―新出資料カダム全集;ゲルク派―論理・実践・詩;チベット語仏典の諸相;ニンマ派の世界観と実践論―ロンチェンパ「休息三部作」が説くゾクチェン修道論におけるマインドフルネス;「仏」の教えとしてのボン教)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピオリーヌ
9
まえがきで本書の目指すところとして、岩波講座歴史シリーズのような、平易な概説書と専門的な論文の間の架け橋または中間点となるような書が日本のチベット学には無く、本書はその中間点を目指したとあり、期待が高まる導入!編者の岩尾氏曰く、専門の時代を異にするチベット史の研究者が一国に揃っているのは非常に稀有であり、だからこそ本書は平板で教科書的な歴史記述ではなく、自らが専門とする時代について、得意とする所を思うがままに書こうという編集方針に至ったという。古代から現代までのチベットが一望できる。2021/06/05