出版社内容情報
「孫子の兵法」に影響を与え、司馬遷を“危険極まる”とおそれさせた中国史上最強の策謀術。本邦初公開。
道徳すら武器。恐ろしく実戦的。
中国古典の最終兵器『鬼谷子』、ここに解禁!
孫子の師匠と言われ、始皇帝に不老不死の薬を教えたとされる謎の賢人・鬼谷子の残した一冊の書。そこに書かれているのは、「王」という自分より強 い立場の人間を、身を守りつつ動かすための「言葉」と「策謀」の技術だった。
中国戦国時代、言葉一つで天下を自由自在に動かした遊説家たちの東洋式弁論術の全貌がここに明かされる。
はじめに――『鬼(き)谷(こく)子(し)』、ここに解禁
0章『鬼谷子』とはなにか?
0‐1「孫子の兵法」は日常を救わない
・兵法が孫?になにをもたらしたか?
・日常でこそ役に立つ『鬼谷子』の教え
0‐2 なぜ『鬼谷子』は恐れられたのか
・弟子は中国戦国時代の英雄、蘇秦と張儀
・戦国の縦横家たちのリアリズムと叡智が結実した書
0‐3 蘇秦──大国・秦を弁舌だけで窮地に追い込んだ男
・強国・秦を弁舌で封殺した男
0‐4 張儀──合従策を破り中国統一のレールを敷いた男
・天下の英雄・張儀
0‐5『鬼谷子』の本領──絶対安全圏から他人を動かす技術
・『鬼谷子』の本領とは?
・張儀の驚異の自己防衛策
0‐6『鬼谷子』にはなにが書いてあるのか?
1章『鬼谷子』の基本──言葉を支配する者がすべてを支配する
1‐1 口は「存在と滅びの門」
・「聖人」になれ
・聖人は「口」の開閉を支配する
1‐2「話す」と「黙る」で働く力のベクトル
・「開閉」の意味
・「開」で近づき「閉」で離れる
1‐3 静止状態ではなにも見えない
・働きかけ(反)とフィードバック(覆)で物事の動きをとらえる
・会話は言葉の「反覆」である
1‐4「話す(開)」と「黙る(閉)」の効用
・「開」の作用とは?
・「閉」の作用とは?
・『鬼谷子』は「開」「閉」を同じ重みで扱う
1‐5 言葉のやりとりは「陰陽」の原理で動いている
・すべては「陰陽」である
・陰陽の回転を原動力にして相手を動かす
・「円方の門戸」とはなにか?
1‐6 人を動かすには「見えないところ」に力を注ぐ
・聖人の道は「陰」にあり
1‐7『鬼谷子』が説く策謀の手順
・「変」──世界や相手の動きを見る
・「事」──なすべき課題を定める
・「謀」──課題を解決するための策略を練る
・「議」──話す内容を決める
・「進」「説」「退」──話したら速やかに去る
1‐8 人を動かしたらただちに「陰」に還る
・陰に始まり、陰に終わる
2章「象(しょう)比(ひ)」と「飛(ひ)箝(かん)」──相手の本心をえぐり出す技術
2‐1 動かせる相手か、動かせない相手かを見極めよ
・本心の把握できない相手からは去る
2‐2 共感と同調で相手の「事(課題)」を導く「象比」の術
・相手の言葉に網を張り巡らせよ
・ふと漏らした言葉に本音がある
・徹底的な質問で万が一にも禍根を残さない
・相手が頑なに本心を言わない場合
・「円」で導き、「方」で「事」とする
2‐3 硬軟合わせ技で相手の「事」を引っ張り出す「飛箝」の術
・「開」と「閉」で会話の主導権をとる
・相手に応じて「おだて」と「そしり」を使い分ける
3章「内?ノ(ないけん)」──「つながり」を利用し心の内側から説得する
3‐1「陰陽」を用いた説得の技法
・相手によって説得の仕方は変わる
・強を為す者は弱を積み、直を為す者は曲を積む
3‐2 説得の成否を決定づける「内?ノ」
・金、酒、色、「内?ノ」は様々なものから生まれる
3‐3 道徳を利用して「内?ノ」を作る
・最大公約数的な「内?ノ」とは?
・すべては自分の「謀」のために
4章 「揣摩(しま)」──感情の「割り符」で人を動かす技術
4‐1 心のツボを刺激して人を動かす「揣摩」の術
・極意は「表に出ない」こと
・蘇秦が張儀に使った「揣摩の術」
4‐2 周りの情勢をはかる「揣(し)」の術?T「量権」
・情勢が相手の行動を制限する
4‐3相手の本心をはかる「揣」の術?U「揣(し)情(じょう)」
・「変」があるとき「内符」を隠すことはできない
4‐4相手の欲するところ利用して「内符」を動かす「摩」の術
・「物類、相応ず」
4‐5「摩」の十法とはなにか?
・「揣摩」は聖人の術
4‐6 相手を知ることは、己に始まる
・他人を知るには自分の「先定(せんてい)」から
・「先定」とは自分の「軸」を保つこと
・自分の心で他人の心を照らす
・自らを「揣情」する
5章「忤合(ごごう)」と「抵?(しぎ)」──100%安全をはかる身の処し方、去就の操り方
5‐1 去就を「内」と「外」でコントロールする
・「内」と「外」を使い分ける
・「外」の状態での弁舌は身を危うくする
5‐2 人間関係は「忤合」の原理で操る
・「謀」をなすのに両方をとることはできない
・自分の才能、能力、知恵を把握することから始める
5‐3『鬼谷子』の友敵理論
・理論の実践
5‐4「抵?」の術──身に迫る危険を事前につぶす技術
・危険の兆し五つのパターン
5‐5「陰陽」の「開閉」で危機を察知する
・陰陽の入れ替わる瞬間をとらえる
・ふさげないひびからは逃げる
6章 対話の本質はなにか?──最も危険な罠にはまらないために
6‐1 人に「説く」とはどういうことか?
・人に説くことは、人をたすけること
6‐2 会話に必須となる四つの心得
6‐3 智者の悪いところより愚者のよいところを用いる
・用いるべきところを用いる
・「聴く」ための三つの教え
6‐4 害ある言葉の分析?T──「佞(ねい)」「諛(ゆ)」「平」「戚」「静」
6‐5 害ある言葉の分析?U──「病(へい)」「恐」「憂」「怒」「喜」
6‐6 会話の「反覆」を活発化する
7章「本経(ほんきょう)陰符(いんぷ)七術」──言葉のやりとりは気の戦いである
7‐1 戦国時代にも重視されたメンタルコントロール
・いかに心を動揺させないか
7‐2『鬼谷子』の説く心の構造
7‐3 「養志」で気の勢いを高める
・徳を踏まえた「志」は天下を動かす
7‐4心が静まれば自ずとやるべきことが見えてくる
・「神、自得す」
7‐5心気を集中させた者が勝つ
・「実意」と「謀」の相互作用
7‐6「散勢」とはなにか?
・相手の「間」をとらえ分散させる
・気の観点から『鬼谷子』をとらえなおす
おわりに――なぜ『鬼谷子』だったのか
【著者紹介】
作家。横浜生まれ。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。国文学専攻。専門は漢文学。言葉の使い方や読み解き方、古典や名著を題材にとり、独自の視点で研究・執筆活動を続ける。近年は特に弁論術・レトリックをテーマとしている。著書に『どんな人も思い通りに動かせる アリストテレス 無敵の「弁論術」』(朝日新聞出版)、『あたらしい話し方の辞典』(日本文芸社)、『そうだったのか! スゴ訳 あたらしいカタカナ語辞典』(高橋書店)がある。
内容説明
道徳すら武器。恐ろしく実戦的。中国古典の最終兵器『鬼谷子』、ここに解禁!中国戦国時代、王という自分より強い立場の人間を、身を守りつつ動かすための「策謀」の技術があった。一歩道を誤れば命を狙われる乱世の中、諸国を渡り歩いた遊説家たちのリアリズムと叡智が結実した一冊。
目次
0章 『鬼谷子』とはなにか?
1章 『鬼谷子』の基本―言葉を支配する者がすべてを支配する
2章 「象比」と「飛箝」―相手の本心をえぐり出す技術
3章 「内〓(けん)」―「つながり」を利用し心の内側から説得する
4章 「揣摩」―感情の「割り符」で人を動かす技術
5章 「忤合」と「抵〓(ぎ)」―一〇〇%安全をはかる身の処し方、去就の操り方
6章 対話の本質はなにか?―最も危険な罠にはまらないために
7章 「本経陰符七術」―言葉のやりとりは気の戦いである
著者等紹介
高橋健太郎[タカハシケンタロウ]
作家。横浜生まれ。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。国文学専攻。専門は漢文学。言葉の使い方や読み解き方、古典や名著を題材にとり、独自の視点で研究・執筆活動を続ける。近年は特に弁論術・レトリックをテーマとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
孤独な読書人
ハパナ
大森黃馨
小木ハム