出版社内容情報
建武の新政ののち、日本全国を捲きこんだ動乱の六十年を詳細にたどる。足利尊氏・直義、南朝三党の争いきわまり、義満の国内統一が山となる。
内容説明
宿願の幕府打倒に成功した後醍醐天皇は、旧慣を無視して建武の新政を開始した。しかしそれは、もろくも三年にしてついえ、あとに南北朝対立、天下三分、守護の幕府への反抗の時代がおとずれる。この七十年にわたる全国的動乱の根元は何か。
目次
公武水火の世
建武の新政
新政の挫折
足利尊氏
南北両朝の分裂と相剋
動乱期の社会
直義と師直
天下三分の形勢
京都争奪戦
南朝と九州
苦闘する幕府政治
守護の領国
名主と庄民
室町殿
王朝の没落
日本国王
著者等紹介
佐藤進一[サトウシンイチ]
1916年(大正5)、新潟県に生まれる。1939年(昭和14)、東京帝国大学文学部国史学科を卒業。同大学史料編纂所に入り、1949年から名古屋大学助教授を併任。その後、東京大学教授、名古屋大学教授、中央大学教授を歴任
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
66
この時代というのはあまり歴史上で目立たない気がします。物語上では太平記があり結構楽しめますし、隆さんや北方さんがバサラ大名を主人公にした物語などを書かれてはいますが。しかしこの本を読んでみて先の小説に勝るとも劣らないおもしろさがありました。確かに皆さんが結構ほめているように、この日本の歴史の中でもかなり水準の高い巻だと思いました。2015/06/07
Book & Travel
48
9巻は鎌倉幕府滅亡から南北朝動乱を経て、足利義満の時代まで。著者は中世史研究の大家で、南北朝史の基本書とも言われる本である。天下を三分した後醍醐、足利尊氏、直義や権力を強化した義満といった主要人物の他、根強く勢力を張った足利直冬、南朝の要・北畠親房など存在感ある人物が多数。それら勢力に守護・国人たちが着いたり離れたりして争い合うさまは混沌としていて正に動乱の時代。人物だけでなく守護制度の変化など多面的な時代の姿が500頁に纏め込まれていて、一読ではとても理解しきれないが、圧倒的な説得力を感じた一冊だった。2018/06/26
てつ
41
南北朝時代。日本史で一番訳のわからない世界。太平記は小説でリメイクされたものを読んでいたので流れはなんとなくわかる。ただあくまでも小説なので、知らない名前が出てくると訳わからなくなる。結論、一読ではわからない。ただ、南北朝だけではなく幕府という別の極があって三極状態だったことにはなんとなく行き着いた。2020/11/03
Francis
19
南北朝時代を取り扱った歴史書で名著と言われている本。確かに読み応えがあり、歴史的事実を書くだけでなく、武士の主従関係や当時の社会の状況など幅広く論じている。最近ベストセラーになった「観応の擾乱」はこの本を補完する内容と言える。2018/06/21
umeko
15
様々な勢力が錯綜するさまを、非常にわかりやすく書かれている。この時代が、こんなにも面白いとは知らなかった。2017/06/01