出版社内容情報
ヘッセの代表作の一つを新訳で贈る。インドの若者シッダールタの悟りへの道を寓話的に描き、「人はなぜ生きるのか」に解答を与える傑作小説。
【著者紹介】
一八七七~一九六二年。ドイツ、ヴェルテンベルク州生まれ。詩人、作家。一九四六年ノーベル文学賞受賞。代表作に『郷愁』『車輪の下』『デーミアン』『荒野の狼』などがある。
内容説明
宗教も国民性も超えて、読むものの魂を共振させる傑作小説、新訳で甦る。
著者等紹介
ヘッセ,ヘルマン[ヘッセ,ヘルマン] [Hesse,Hermann]
1877~1962年、詩人、作家。ドイツ生まれ。1912年よりスイスに住み、1924年公民権を取得して永住。1946年ノーベル文学賞受賞
岡田朝雄[オカダアサオ]
1935年東京生まれ。ドイツ文学者。東洋大学名誉教授。日本昆虫協会副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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著者の生き様を学ぶ庵さん
35
釈尊とは別人のシッダールタは釈尊と意見を異にし、幼なじみで釈尊に帰依したゴーヴィンダとも別れ、一見放蕩生活にみえる生活を送る。この還俗者が体感した賭事、性愛、愛人に生ませた放蕩息子との別れも全て解脱への道程であり、沙門時代に「幼児人間」と蔑んだ還俗の世界に真理があることにシッダールタが気付く点が秀逸。この物語をドイツ人ヘッセが書いたところに驚きを感じ、アメリカ嫌いヘッセの本作品がアメリカで大ヒットしたことも理屈通りではなく、現実世界の面白さを表す。2016/09/24
おおにし
15
精神世界のブックガイドに必ず載っている名作であるが、今まで読んだことがなかった。キリスト教徒のドイツ人にヒンドゥー教や仏教の思想が分かるのかと思っていたが、読んでみてこれは素晴らしい宗教小説であることがわかった。主人公シッダールタ(架空の人物)と仏陀(本物のシッダールタ)出会う場面が特に印象的だ。「何人も教えによっては解脱を得られないのです!」と仏陀と決別するシッダールタの姿にしびれてしまった。主人公が河の声を聴いて真理を悟るあたりは著者の宗教体験とリンクしているのだろうか。2017/10/06
栗 餡子
14
示唆に富んだ美しい文章に、手元に置いて読むことにしました。清濁併せ持つことでその先へと歩みだせたシッダールタ、折に触れて読むことになりそうです。2015/11/27
もよ
9
翻訳は読みやすくよかった。 小説というよりは講話のような感じに違和感を感じていたら、解説にヘッセ自身によるとこの作品は「インド思想からの決別の表明」であり、「すべての人間の宗教と信仰に共通し...どんな人種にもどんな個人にも信じられ、敬われるものを徹底的に究明する試み」とあり納得。2017/02/04
らい
8
五年前くらいに一度読んだのかな。その時は今よりもっと多感な時期やって、表紙が美しくて当時の恋人と一緒に手に取った、その時の自分に出会うような気持ちだった。五年もあれば充実を感じるときも、苦難に満ちている時期もあったけど、きっとその先でシッダールタのように全ての経験を糧に生きていたい、静かに耳を澄ませて、深く聴けるようになりたい、そんなことが内側から溢れてきたことを思い出した。時を経て読むのはいいですね。2020/12/23




