出版社内容情報
フロンティアの神話に飾られた西部「開拓」の大いなる歴史をくつがえし、血塗られた西部史をインディアンの声を通して再現した全米ベストセラー。
【著者紹介】
アメリカの歴史家。西海岸の歴史を主なフィールドにしている。
内容説明
シャイアン、アパッチ、コマンチ、ナヴァホ、スー…。1860年からわずか30年間で殱滅させられた諸部族のあまりにも痛ましい歴史を詳細に描きあげた名著。
目次
第10章 キャプテン・ジャックの試練
第11章 野牛を救うための戦い
第12章 ブラック・ヒルズをめぐる戦い
第13章 ネ・ペルセ族の逃避行
第14章 シャイアン族の大移動
第15章 スタンディング・ベアー、人間となる
第16章 「ユート族は立ち去らねばならぬ!」
第17章 最後のアパッチ族酋長
第18章 幽霊の踊り
第19章 ウーンデッド・ニー
著者等紹介
ブラウン,ディー[ブラウン,ディー][Brown,Dee]
1908年ルイジアナ州生まれ、アーカンソー州で2002年没。作家、歴史家。ジョージ・ワシントン大学、イリノイ大学で図書館学を学び、イリノイ大学教授に
鈴木主税[スズキチカラ]
1934年東京生まれ。2009年没。翻訳家。ウイリアム・マンチェスター『栄光と夢』(草思社)で翻訳出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
26
あまりにおぞましいアメリカの裏面史。先住民や黒人奴隷、大量の移民、南北戦争の実態、そうした全体を俯瞰してくれるアメリカ史の本って、あるのかな。本書は1970頃の本。アメリカにおいて、ベトナム戦争と重ね合わせて読まれたとか。さもあらん!2018/10/09
加納恭史
16
インディアンの土地を追われる歴史は痛ましい。上巻から引き続いて下巻も1860年からわずか30年間で諸部族の居留地は削られ、ほぼ絶滅のように少数民族となる。白人の移民は湯水のように殺到した。牧場主、野牛ハンター、金銀の採掘業者が殺到した。政府、知事は軍隊を投入しつつ、たまにインディアンと会談を持つが、彼らの要求は退けられる。諸部族は絶望的な戦いに至る。インディアンの聖地ブラック・ヒルズもカスター将軍の他大部隊が投入された。初戦は連隊やカスター将軍をやぶるがインディアンには継戦能力はなく逃亡か投降しかない。2024/07/11
H2A
8
おぞましき知られざるアメリカ史。ジェノサイドは至るところで次々に起こり、可能な限りのものを奪い尽くす。白人側の善意ある人々も富を求める大勢にかき消されてしまう。非難ばかりするとつもりはないし読んだことは後悔もしない。2025/02/13
gokuu
3
ひー…近頃読んだなかで一番重かった。インディアンの側から描写される開拓史。「白人は、われわれの何が気にくわないのか?われわれはこの土地を走り回っているだけなのに、彼らはつぎからつぎへとわれわれのあとをつけてくる」シッティング・ブルの言葉通り、アメリカ開拓史はインディアンの眼から観たら単なる不条理劇、しかも悪夢のような不条理劇だった。つらい話が続くなかで印象的だったのが、酋長たちが語る言葉のまっすぐで詩的な美しさ、そして肖像写真の面構えのよさ。大地とともに生きる人々は美しい。もう二度と取り戻せないけれど2013/04/07
大竹 粋
2
アメリカという国が出来る過程で実際に起きた事実を、われわれ日本人も記憶にとどめておかなければ、彼らのやり方のくせ、思考方法、集団で起きうる事(戦争なんて簡単に起きる)を実感しなくては、不条理にも滅ぼされた魂たちのメッセージとしてわれわれ有色人種はうけとめなくては生きていけない。下劣な民意をあおる下衆なマスメディアの問題は、ソーシャルメディア全盛の現代にも通じている。2013/07/19