内容説明
武士の活躍のみが語られがちな幕末。だが、当時の日本人の約8割は百姓身分であり、彼らの営みを見ずして、幕末という時代像は見えてこない。本書では、1830年代~1880年代を「幕末維新期」ととらえ、幕末の百姓たちの衣食住から、土地と農業への想い、年貢をめぐる騒動、百姓一揆や戊辰戦争への関わり、明治になってからの百姓までを、残された希少な史料に基づき、微細にわかりやすく解説。知られざる、もう一つの幕末維新史。
目次
第1章 幕末の百姓の暮らし
第2章 土地と年貢をめぐる騒動
第3章 村々が守った「定」
第4章 農兵と百姓一揆
第5章 百姓たちの戊辰戦争
第6章 明治を迎えて
終章 百姓にとって幕末維新とは何だったのか
著者等紹介
渡辺尚志[ワタナベタカシ]
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。国文学研究資料館助手を経て、一橋大学大学院社会学研究科教授。今日の日本の基礎を築いた江戸時代の百姓の営みに、常に寄り添いながら研究を重ねている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
幕末維新物語本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
33
図書館本。幕末維新ものを読むたびに、志士たちは英雄のように働いたけど、庶民たちはどうしていたのかなといつも疑問に思っていた。その答えのひとつがこの本にある。ただ、百姓の定義とか石高制についてや一般的な百姓の暮らしなどについて延々と後半まで綴っていて、後半に至ってやっと、百姓にとっての戊辰戦争はどうだったのかとか明治維新後はどうだったのかということが出てくる。もともと戦は百姓が軍夫をしなければ成り立たなかったことや全国の各地で奇兵隊創設と同時期に農兵が組織されていたことなど、新知識を得た。後半だけ読めばいい2017/10/19
1SSEI
2
幕末期に限らず、江戸時代の百姓の生活を理解するにいいかも。ただ風俗というよりは、百姓が置かれた経済状況や土地を守るための色々な行動などが中心。百姓が一揆や打ちこわしを起こす行動原理がよくわかった2019/02/22
宮崎太郎(たろう屋)
1
幕末期の農村の人々の姿は教科書や時代劇には出てきません。でもスポットを当てればそこにこそ、私達の祖先が活き活きと暮らした歴史があることがわかります。縄文時代など今まで見えにくかった歴史が注目されています。幕末期の百姓と呼ばれる市井の人たちをもっと学びたいです。2021/11/14
コーリー
1
百姓たちの目線から幕末維新史を見直した、「庶民目線」の幕末維新史。貨幣経済の浸透による格差社会の広がり。緊急事案に対して、複数の村で協力体制を築く地域自治の広がり。また百姓一揆等の実力行使に訴える姿や、戊辰戦争時の農兵としての姿など、幕末維新期の百姓について多くを知ることができた。筆者の言うように、百姓たちも幕末維新期の歴史ドラマになくてはならぬ存在であると感じた。2020/01/21
NEWJPB
1
幕末に農民一揆が多かったことは知られているが、戊辰戦争の華々しさの影に隠れて、農民たちの動向にはあまり注意が払われない。そこに焦点を当てて描いた力作である。地域社会の自律的安定性があったからこそ、開国以後日本は、比較的早くその変化に適応できたのだろう。そういう意味で農村社会の力は、単に社会運動史の観点から論じられるだけでなく、坂野潤治氏の述べる「柔構造」の側面からも論じられていいと思う。2014/04/10
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