内容説明
日本の中学教科書に長く掲載されてきた『少年の日の思い出』新訳を中心に青春小説の傑作『美しきかな青春』など、四作品を集めたヘルマン・ヘッセの短編集。名作『車輪の下』と同時期に書かれ、同じ世界が描かれている。
著者等紹介
ヘッセ,ヘルマン[ヘッセ,ヘルマン][Hesse,Hermann]
1877年ドイツ、バーデンヴュルテンベルク洲カルフに生まれる。詩人、作家。1946年ノーベル文学賞受賞。1962年スイスにて没
岡田朝雄[オカダアサオ]
1935年東京に生まれる。東洋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ykmmr (^_^)
134
中学校の国語教科書に、掲載されている超有名作品。自分が夢中になっているものに対する固執(レア物を盗む時に、その心情が良く書かれている。)・壊したものが再生不可能・それを知り、持ち主の主人公に送る蔑んだ目と言動。主人公は、その罪悪感と無遺憾により、自分の夢中になっているものも破壊してしまう。内容としては大分重いが、「こんな時はどうする?」ということが、消化出来ない。そして大人に、冷静になりきれない年齢に染み入る小説。この年齢は、『礼儀』や『反省』というものがよく分からなかったな。2022/06/21
扉のこちら側
55
初読。2015年545冊め。教科書ではなかったと思うがどこかで読んでまた読みたいと思っていた表題作。実らない恋の青春を描いた四編とも美しくて素晴らしかった。もうドイツ語すっかり忘れてしまったが、またいつか勉強して原書で読みたいな。2015/05/15
テルテル
34
誰もが自分の中で自信のある一番がある。それが顔やスタイル、勉強、スポーツ、趣味と多彩にわたる。それを他の人と比べて劣っていると感じたり、自分がどんなに努力しても得られないと感じたとき、ないものを得たいという願望か頂点に達する。それが、優れた相手を陥れるためのメールや言葉で攻撃したとしたらこれほど愚かなことはない。私のお気に入りの絵本『おおきなあな』が浮かぶ。一度起きたことはもう償いのできないことだと、ちょうを粉々につぶしてしまう『おおきなあな』を埋めるのは、人と比べずに自分らしく生きる勇気と行動。2015/03/06
あじ
22
異性を前にすると、甘酸っぱい気持ちにもじもじしてしまう少年期。互いの気持ちを確かめるまでもなく、距離を置く青年期。そしてきっと誰もが秘めている、盛り上がった傷口。生涯忘れ得ぬ通過儀礼をスケッチした、ヘッセの名作小説集。2024/08/22
kaoriction@本読み&感想 復活の途上
21
この何とも言えないモヤモヤ感は、少年時代独特なものなのか、それとも、人間の深層心理のエグさを突きつけられたからなのか。描かれるのは輝かしい、清々しい少年時代、とは全く異なる。自らの手で汚してしまった、思い出すことすら、話すことすら、辛く恥ずかしい少年時代。「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」。などと蔑まれ、ズバリ射抜かれ。蝶というきらびやかで謎めいた象徴とは裏腹に、主人公の心に落とされる闇。大人への入り口、というにはあまりにも残酷ではないのか。救いようのない、このもどかしさ。神よ、赦し給う…。2016/07/01
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