内容説明
いま韓国社会には、東西ドイツ統一前夜とは180度異なる事態が出現している。金大中政権いらいの「太陽政策」にたいする批判が封じこめられ、反米・反日・親北ナショナリズムが異様なまでに高まるなか、無条件的民族統一願望が国民的コンセンサスになりつつある。これら情緒的民族主義にささえられた現在の政権は、朝鮮半島に最後に残された冷戦構造をどのように解消しようとしているのか。それは日本をはじめとする北東アジアの将来にいかなる影響をおよぼすのか。共産主義体制の非情な行動原理を熟知する著者が、半世紀にわたる北朝鮮の対南工作の実態と、これに対処すべく蓄積されていった歴代政権の「負の遺産」を明らかにし、その結果としてもたらされた韓国社会の変容の危うさを鋭く指摘した、刮目の書である。
目次
プロローグ 情緒と非合理性に回帰しつつある韓国
第1章 盧武鉉政権の登場
第2章 歴代政権の「負の遺産」
第3章 半世紀にわたる対南工作
第4章 国家よりも民族を重視する思潮
第5章 市民団体とメディアの罪
第6章 盧武鉉のシナリオ
著者等紹介
李度〓[イドヒョン]
1933年、ソウル生まれ。50年、ソウル工高在学中に軍に入隊。53年、陸軍中尉任官。アメリカ陸軍広報学校修了、陸軍政訓学校教官。64年、予備役編入、陸軍大尉。この間、62年、建国大学国文科卒業。64年、朝鮮日報社入社。ベトナム特派員、外信部長、日本特派員、論説委員を経て、92年退社。75年~76年、慶応義塾大学新聞研究所留学。現在、『韓国論壇』の発行人兼社長として、金大中政権いらい、最も厳しい言論の締めつけを加えられながら、これに抗して鋭い批評活動を展開。韓国言論界の重鎮としても知られる。韓日協力委員会常任委員、英国国際戦略問題研究所正会員、日本国際文化会館会員
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