出版社内容情報
01年ノーベル文学賞受賞作家の初選集第一巻。植民地独特の人間模様をユーモラスに描いた中篇小説。
内容説明
二〇〇一年度のノーベル文学賞を受賞したトリニダード・トバゴ出身の英語作家V・S・ナイポール。氏の本邦初選集の第一巻としてデビュー作であり、文字どおり出世作ともなった『神秘な指圧師』(一九五七年)を贈る。本作は英国で優れた若手に与えられるジョン・ルウェリン・リース記念賞を受賞した。出身地トリニダード島を舞台に指圧師ガネーシュという奇妙な人物を中心に植民地社会の滑稽な人物模様を描く自伝的な小説である。
著者等紹介
ナイポール,V.S.[ナイポール,V.S.][Naipaul,Vidiadhar Surajprasad]
1932年、英領トリニダード・トバゴにインド人移民三世として生まれる。オックスフォード大学に留学して卒業。BBCなどで働いたのち1957年『神秘な指圧師』でデビュー。植民地社会を題材にした作品が多い。小説家、紀行作家として当代一流の評価を受ける。代表作に『自由の国で』(ブッカー賞)
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感想・レビュー
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きゅー
17
トリニダード・トバゴの植民地英語を翻訳するにあたって訳者が選んだのが尾道・広島弁。読み始めるとすごい違和感があるし、なんで広島弁なのさとは思ったけど、この違和感こそ正統的な英語圏の人間の違和感につながるのだろう。本書はナイポールがまだ25歳のときに書いた作品だという。高学歴者に対する嫉妬と畏怖の念。古臭い習俗や伝統。人々の信じやすさが滑稽に書かれている。エピローグには何じゃこりゃと感じざるを得ないけど、それも含めてナイポールの社会風刺なのだろう。笑える一冊だった。2020/10/06
グラスホッパー
9
何も知らずに読みはじめたら、なんか変だったので、解説をみたら、植民地(当時)の英国で書かれた本だった。それを日本語に訳すとき広島弁を使っている。胡散くさい人々が、ガチャガチャ暮らしているようすが描かれている。かつては、字が読めること、本が読めること、本を持っていることが、ステータスだった。2022/03/30
kurupira
6
読書好きな英会話講師と雑談してて勧められた作家の一人がナイポールだったので読んでみる。これ日本語に訳すの相当苦労したろうな。。最初は違和感あり、途中もまああるのだが、不思議と物語りに入り込めた。失礼な言い方だが田舎社会で成り上がる話、沢山の本を読んで周囲の話もまあまあ聞く、人生の流れを意識して過去の自分に捉われないのが成功した理由か。本を読んだ知識とネットで得る数多の情報はどちらかが役立つのかと読後に思いました。まあその人の活用の仕方次第か。2022/08/29
Mark.jr
3
皮肉のきいたオチがスゴい2017/12/18
ash
3
読みやすくて、そこそこ面白いので、ラテン文学(?)初心者にオススメかも知れません。胡散臭さが滲み出てる表紙に、最初はドン引きしました(笑)植民地にいるインド人の生活やヒンドゥー教徒の価値観がよく分かります。会話文が多くて広島弁なのが、面白かったです。2010/06/23