孤独な帝国 日本の1920年代―ポール・クローデル外交書簡1921‐27

孤独な帝国 日本の1920年代―ポール・クローデル外交書簡1921‐27

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  • サイズ B6判/ページ数 446p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794208989
  • NDC分類 210.69
  • Cコード C0021

内容説明

20世紀フランス文学を代表する詩人、劇作家であると同時に、優れた外交官であったポール・クローデルが、駐日大使時代に本国外務大臣に書き送った外交書簡集である。ロダンの愛人として知られる姉カミーユのジャポニスムの影響をうけて、日本に魅せられたクローデルが、大使となって東京に赴任したのは、第1次大戦終結から3年後のことであった。クローデルはこれらの報告のなかで、極東の新興勢力として国際社会から注目され、さらなる近代化に向けて邁進する日本社会の諸相を見事な筆で描きだしている。のみならず、この詩人大使は、日英同盟が廃棄され、アメリカの排日移民問題が再燃し、英米の提携が強まる一方で、日本が中心軸をはずれ、孤立を深めつつあることをはっきりと指摘し、その先に到来する事態を正確に見通している。恐るべき洞察力である。英米との開戦にいたる近代日本の転換点を捉えなおすための第一級の資料といえる。

目次

1921(大正10)年(裕仁皇太子摂政となる;ワシントン会議と日本の軍艦数の削減、および中国の問題 ほか)
1922(大正11)年(駐日ドイツ大使ゾルフ博士の発言;大隈侯爵の死 ほか)
1923(大正12)年(無題(叙勲候補者リスト)
普通選挙に対する不穏な動き・国内情勢 ほか)
1924(大正13)年(フランス新聞協会の義援金で建てられた天幕病院の開院式;清浦内閣と国会の解散 ほか)
1925(大正14)年(東京の日仏親善団体の合同主催による懇親会でのスピーチ;日仏会館の開館式)
1926(大正15・昭和元)年(政治と金、国会議員の汚職スキャンダル;「壮士」に対抗する闘い ほか)
1927(昭和2)年(ポール・クローデルからA・レジェ宛の私信;京都日仏学館 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

81
フランスの外交官。大正末期(1921)から昭和初期(1927)まで駐日大使を務める。在任中に関東大震災に遭遇。大使が本国外相宛てに送った膨大な外交書簡から20年代の日本の姿が見える。一次大戦後、五大国の一角を占めた新興国日本に対し、脅威を感じた米国は海軍軍縮会議により海軍力に制約を加え、更に日英同盟も解消させる。クローデルはアングロサクソン(米英)の中軸から外された日本の孤独を冷静に見詰め、フランスとの協調推進を画策。全般に親日・知日ではあるが、冷徹な上から目線で日本の政治・社会の遅れた面を見逃さない。2020/09/21

Toska

14
『天皇国見聞記』(https://bookmeter.com/books/589734 )が浮世離れした日本文化論であったのに対し、こちらはクローデルの外交官としての素顔を伝える。意外に(失礼)ちゃんと仕事してたんだなあ。政治や外交、経済から仏人カトリック聖職者の日本布教に至るまで細かく目を配っている。軍縮条約と関東大震災、普選運動などに揺れる激動の日本を、冷徹な外交官の目で観察した一級史料。2024/05/10

Meistersinger

6
大正時代の駐日仏大使が本国に送った書簡集。現在も同じだろうけど、実に様々な問題を扱わないといけない事が分かる。仏語教育の普及やカトリック布教の問題は、いま(英語が国際語として確立し政教分離が重んじられる)でもやってるのだろうか。日本の議会(瑣事やスキャンダルの論いばかり)や新聞(固有の価値観なく世間話に迎合)など、今日に通じる問題も指摘。ドイツへの対抗心も述べられてるが、日仏という外交基軸もあり得たと思えてくる(伊大使館のファシズム宣伝が淡々と触れられてるのは面白い)。2018/06/12

印度 洋一郎

4
著名な女流彫刻家、カミーユ・クローデルの弟であるフランスの外交官が駐日大使を勤めた大正時代後期から昭和初頭にかけて、本国の外務省へ提出した外交書簡の抜粋。英米と対立する日本との同盟を模索し、フランス語教育の推進やフランス文化の拠点設立に奔走し、フランス系教会組織の衰退に苦慮していた。そして、日本の政治、外交、社会への分析は今にも通じる。「日本は対外的な広報が下手」「日本の議会は形式的議論しかせず、意思決定は密室で行われる」「日本人は警戒心が強く、根に持つと執念深いが、新奇なものには無邪気に好奇心を現す」と2018/09/18

Fumi Kawahara

4
着任早々、関東大震災に遭われたのは、まことに気の毒です。面白いのは中盤、米国が排日法を制定した辺りですかね。仏大使から見ても、これは人種差別を煽動して日本を挑発するばかげた行動だと見えたようです。まー、米国人は、そんな嫌がらせを日本にしていたことすら知らず、「俺ら何にもしてないのに、りめんばーぱーるはーばあ~!」とか言って我が国をタコ殴ってくださったわけですが。後ろから首を絞められたら、誰だって抵抗するっちゅーの。まぁ、戦前からのツケ払いが来てますのでね・・・南シナ海、頑張れヒーロー♡ここからが本番だぞ♡2015/10/15

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