内容説明
自己正当化のため巧妙かつ隠微なうそをつく邪悪な人たちの心理とは?「人間の悪」の本質に迫るスリリングな書。
目次
第1章 悪魔と取引した男
第2章 悪の心理学を求めて
第3章 身近に見られる人間の悪
第4章 悲しい人間
第5章 集団の悪について
第6章 危険と希望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よつ葉
38
うぬぼれとは「悪性のナルシシズム」。人間の悪を初めて科学的に究明した本で虚偽と邪悪の心理学、との前がき。この本は小説ではありません。精神科として開業している先生の所に受診にきた患者達のお話です。でも、そこには患者として受診に来た人たちよりも、付き添ってきた、親や配偶者が原因で精神疾患をかかえる事になってしまった話でもありました。やっかいな事に、その付き添ってきた人達は自分を精神疾患者と認めないのです。なので患者と思われている人「みなし患者」の症状の改善が認められないことでした。2017/02/04
アーモンド
38
悪の心理学。精神科医として、邪悪な人たちを治療しようとした例などが書かれている。宗教観などは日本人である私には少々分かりづらい面もあり、翻訳本なので、言い回しなどなかなかストレートに入りづらかった。邪悪な人は自分の悪を自覚することなく、他人を攻撃する。しかも、身近に普通に存在するようだが、もしかして自分は…と怖くなる文章もあった。2015/09/20
carl
33
時間が掛かったけど面白かった。勉強になりましたって感じ。 私も平気でうそをつけるけど・・・随分違う2017/01/27
佳乃
33
邪悪さについて。自分を守るために虚偽の行動はと変わる。自分の心に言い訳を作るため。本当の邪悪な人間は恐ろしい。一見にして普通に見えるけど、やはり人と違う。邪悪さとは違うかもしれないが、自分を正当化しようと嘘を重ねる人間がいる。あまりにもそれは愚かすぎて人と呼べるものなのかはわからない。ただ、それが邪悪なものでなかったからこそよかったように思う。色んなことに注意を向ければ、きっと邪悪な人間はそこかしこにいて、自分の隣にも本当はいるのかもしれない。ただ、そこまで注意を向けていないだけ・・・2016/11/29
うさみみ
27
今年一面白かった。人の陥りがちな欺瞞、邪悪性について、ミステリ顔負けの謎めいた切り口(悪魔と契約した男、蜘蛛を異常に恐れる女などが邪悪を示す例として出てくる)と丁寧な語り口で問題提起する本。特に集団、権力のなす邪悪については、1983年の出版物ながら現在の社会情勢にそのまま適用できる普遍性がありとても驚かされた(「隠ぺいというのは集団の大きな虚偽である」、外集団の欠点や「罪」に関心を向けることで集団内の欠点は容易に看過される…等)。娯楽性と普遍性を同時に獲得した稀有な名著。2018/11/14