内容説明
戦いの奥底で複雑にからみあった「人種」意識に公平かつ多角的な視座から光をあて、この戦争の語られなかった側面を浮き彫りにする。
目次
「人種」という概念
揺らぐ西欧の優位
日本の「勝利」の衝撃
助長されていった人種偏見
「有色人種」対「白色人種」
新しい国際秩序と差別意識
アジアと日本とその変容
太平洋戦争のもたらしたもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
5
戦場心理で相手を差別化することにより敵愾心を深化させるということがあるというのを聞きますが、そもそも人種差別の意識が相互にあれば互いに戦場等で残虐行為が行われた背景なのかなと思います。人種問題があったこととあったと見なしている著名人が多かったことを端的に書いており興味深かったです。2020/05/11
の
0
人種問題の面から太平洋戦争を見ていく本。太平洋戦争はアフリカや東南アジアの植民地の取り合いの戦争であったが、それは多くの人間が行き交うことを意味し、結果「人種」を強く意識しなければならない状況となった。作者が特筆しているのはイギリス人による差別で、植民地人や戦争相手国人に向けた差別、更には仲間である筈のアメリカ黒人軍にまで凄まじい差別を向けたという。ここまで差別をしなければならなかった理由は明らかにされていないが、21世紀になっても中東と欧米の戦争が続いていると、人種差別は人間の本能なのかもしれない。2011/05/03