出版社内容情報
ジャズミュージシャンのジェンダー分析
フランスのジャズ界での長期にわたるエスノグラフィー調査によって、女性ミュージシャンの置かれた状況を構造的に紐解いていく。歌手という「女の仕事」と、器楽奏者という「男の仕事」に携わる女性たちは、それぞれどのような困難に直面しているのか。ジャズ界だけでなく、他のアート業界にも当てはまるような分析的視座を提供する、アート・職業・ジェンダーが切り結ぶ社会学。
内容説明
声や歌という「女性らしい」音楽的役割へと疎外される女性ジャズシンガーたち。圧倒的な「男社会」の中でマイノリティとして「ガラスの天井」にぶつかる女性器楽奏者たち。「才能の神話」はどのようにしてジェンダー不平等を覆い隠すのか?芸術世界におけるジェンダー平等の議論に一石を投じ、フランスで大きな評判を呼んだ、労働・芸術・ジェンダーが切り結ぶ社会学。
目次
階層的であり飽和したプロの世界
第1部 女性ジャズシンガー、かぎりなく「女性的」な職業(ボーカルジャズ、商業ジャズ、ジェンダー化されたジャズ;限りなく「男性的」な世界で、限りなく「女性的」であること;声は楽器ではない;抗い難い「女の」誘惑;アマチュアボーカルジャムセッション―虚しき性の逸脱?)
第2部 「凄い女ら」という呪縛(非常に「恵まれた」若い女たち;辿り着けない安定した仕事のネットワーク;男の世界にいる女性たち―両立しえないものの両立?;公的な領域で「女らしさ」を管理する―蔑視、中立、性的な魅力)
結論
著者等紹介
ビュスカート,マリー[ビュスカート,マリー] [Buscatto,Marie]
パンテオン・ソルボンヌ大学(パリ第1大学)社会学教授。専門分野は労働・芸術・ジェンダーの社会学であり、質的調査の専門家でもある。フランス、アメリカ、日本の音楽・芸術業界における女性アーティストをめぐる状況についてフィールドワークを重ねてきた。現在は、芸術界への女性の参入や労働環境、また芸術界におけるジェンダーに基づく暴力(GBV)をジェンダー論の視点から研究している
中條千晴[チュウジョウチハル]
1985年生まれ。東京外国語大学国際日本学部特任講師。リヨン大学トランステキスト・トランスカルチュラル・スタディーズ研究所博士号取得。専門はメディア文化論、フェミニズム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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林克也